北九州マラソン:市民ランナーの夢、念願のサブフォー達成!
2月9日日曜日、北九州マラソン。
小倉は、残念ながら鉛色の空で小雨模様だ。
関東以北の大雪よりはマシだ。その影響でこの地に来る事が出来なかったランナーが多いらしい。楽しみにしていたであろうに、無念だろうなぁ。
朝9時からのスタートに向けて、小倉市街にある小倉市役所前の勝山公園へ宿泊先の西鉄インから歩いて向かう。
西鉄インは北九州マラソン参加者用としてレイトチェックアウトのプランを用意していてくれて、19時迄にチェックアウトでよく、荷物を部屋に置いたままにしておけたので、大変便利であった。スタート会場まですぐ近くだし、本当に有り難かった。
既にスタート地点は、ランナーで凄い人だかり。
みんなこんな寒い中にフルマラソンを走ろうとするなんて、元気な人達ばかりだ。
自分もその一人としてここにいられて、とても嬉しい。
9時、いよいよ北九州マラソン、スタート!
大会ゲストの有森裕子さんが長旅に出発するランナーに対して手を振って見送ってくれる。
今回も相変わらずテンションが高くて、奇声を発して我々を笑わせ、和ませてくれる。
いろいろな大会のスタート地点で見掛ける恒例の光景だ。
あいにくの小雨模様でありながら、沿道では終始切れ目無く、たくさんの小倉市民が我々を応援してくれて、疲れを忘れさせてくれた。本当に有り難かった。
北九州市制50周年、おめでとうございます。
小倉市街から少し離れたところにある動物園がある到津の森公園前辺りを走っていると、北九州市出身で市民ランナーの一番身近な指導者として名高い金哲彦さんが前に!
昨日のEXPOでトークショーを見学していた際に、「明日はランナー達と触れ合いながら、イーブンペースで、4時間30分で完走します!」と宣言されていたので、周りのいろいろなランナー達と挨拶しながらニコニコペース(話しながら走る事ができる程度のペース)で走っておられた。
やはりランナーの中では大人気の方なので、いろいろなランナーが話し掛けられていて、とても楽しそうだった。
自分もしばらく往年の名ランナーのランニングフォームを後ろから眺めながら走り、4時間30分よりは速く走りたかったので、「いつもお世話になってます!」と挨拶だけして先を急ぐ。
こんな身近で金さんと一緒に走る事が出来て大変光栄だった。
後から知ったのだが、隣で走られていた女性は奥様だそうだ。
夫婦でフルマラソン完走とは羨ましい限り。
いいなぁ。自分もそうやって一緒にゴールを目指して走る事ができる伴侶が欲しいものだ。
7.5km辺り、最初の目的地である、有名なスペースワールドが見えてきた。
なるほど、確かにスペースシャトル?っぽいものがあるが、何だか、うーん・・・
10km過ぎ辺りで、4時間のペースランナーに追いついてしまった。
これまでの大会で、こんな序盤にペースランナーと一緒に走るなんて経験は無かったので、少しオーバーペースで来てしまったかな、と少し不安になってしまった。
このランナーに最後まで付いていく事が出来れば、今年の目標のひとつで念願であった市民ランナーの夢であるサブフォー(4時間以内のフルマラソン完走)達成だ。
まだあと30kmもあるので、このペースを最後まで維持して、そんな偉業ができるなんて自信は無かった。
しばらくこのペースランナーと一緒に走っていると、15km過ぎ辺りでこのペースランナーがトイレのためにコースを外れてしまった。
「おいおい、ペースランナーが途中でトイレなんて大丈夫か!?」と思ってしまった。
一緒に走っていて、まだ序盤なのに辛そうな顔をして余裕の無い走り方をされている印象があったので、「もしかして調子が悪くてリタイアしたのかも・・・」と勘繰ってしまった。
4時間のペースランナーのことは忘れ、自分のGPSウォッチ、GARMINのForeAthlete 910XTJを信じて、5分20秒?30秒/kmを維持してこの先走っていこう。
エイドステーションの運営は、この大会のスポンサーである北九州市を代表する企業のデンソーや福岡銀行、スターフラヤー、安川電機、新日鐵住金などのボランティアの方々が我々をもてなしてくれた。
我々市民ランナーは、エイドについたら、次のエイドを目標に走り続け、そしたらいつの間にかゴールという風に、各エイドをマイルストーンにしながら大目標であるゴールに向かって走っているので、こういう方々のおかげで我々は楽しんで走られますと感謝。
新日鐵住金の小倉支店が見えてきた。昨日の前日受付会場の裏手に見えていたのが新日鐵住金の工場群だったので、小倉市街に戻ってきたということだ。
20km地点で小倉駅に戻ってきた。
沿道の応援がより一層に賑やかになる。何だか歓迎してくれているようでテンションが上がって嬉しくなる。後半も頑張れそうだ。
小倉駅前を過ぎた辺りで、中間地点に到達。
10時56分ということは、ここまで2時間以内で走ってきたということだ。これまでのフルマラソンでは経験したことが無い速いペースだ!
このペースをあと半分続けられれば、サブフォー達成なのだが、ちょっとオーバーペース気味で、この先、ガス欠してしまわないかが不安。
関門海峡の海が見える国道199号線をひた走って、昨日行った門司港の門司港レトロの折り返し地点に向かう。
小倉駅から門司駅、小森江駅、門司港駅と3駅分なので、大したことないと思っていたが、後半で疲れも出てきて、この単調な一本道は気が滅入る。
そんな疲れた気分を一瞬だけでも忘れさせてくれるのが沿道の盛大な応援だ。
「がんばれ!父ちゃん!母ちゃん!」という印刷会社ならでわの横断幕の下で、日曜日の朝にわざわざ応援しに来てくれている野球少年達。
疲れているのに笑顔を与えてくれる。有り難い。
右手に門司駅が見えてきた。
昨日、門司駅と門司港駅があることを知らずに、門司港駅の手前の門司駅で間違えて一旦降り立ってしまって、観光客も全くいない門司駅前のこのレンガ造りの屋敷の周りをウロウロしていたのを思い出す。
そして、30km地点。
門司港の門司港レトロにあるランドマーク、門司港レトロ展望室のタワーが見えてきた!
昨晩、散策した門司港駅前の小さなロータリーで折り返し。
沿道の方々の凄い応援が嬉しい限り。応援に応えながら、元気に折り返し。
しかしながら、予想通り、走りながらでは門司港レトロのレトロな雰囲気は微塵も感じ取れることはできなかった。
マラソンでその土地の観光スポット・ランドマークの近くは走れども、じっくりその良さを体感できる程の時間や余裕は無いことはこれまでの大会で経験済み。
こうなることを見越して、昨日のうちにここに来て少しだけでも雰囲気を味わっておいて良かった。
折り返した後、門司港の海岸沿いも一部コースになっていて、少しだけ走らせてくれる。
県外から来たランナーに関門海峡と関門橋、向こう岸の下関の街並みを見せてくれるという大会側の粋な計らいだろう。
昨日は夜の風景しか見られなかったので、見られて良かった。
さて、30km地点を越えて、ゴールまではあと12km、今来た道を小倉まで戻っていくだけだ。
後は戻るだけでそのコースも分かっていて、ゴールも見えてきたというだけで、かなり気分は楽になる。
いつも30kmを過ぎると、一旦止まって、携行補給食でエネルギーを注入しながら、屈伸をして、「さぁ、後半戦!ゴールまで頑張ろう!」という気分になるのだが、それをしていると、頭に目立つ風船を付けた見覚えのある4時間のペースランナーが颯爽と自分を追い越していく。
しまった!
10km過ぎで追い越した後、30kmの折り返し地点でも自分の後ろを走るランナー達の中に見掛けなかったので安心していたのだが、どうやら自分の真後ろをこのペースランナーは走っていて気づかなかっただけだったようだ。
ここまで、20km近く迄は好調なペースで5分20秒から30秒/kmで走ってきたものの、それ以降は少し疲れが出て5分40秒/km辺りになってしまったので、32km地点で追いつかれてしまった。
「やっぱりサブフォーは難しいなぁ・・・」と再認識し、半ばサブフォーは諦めながら、今、追い抜き返す程の力は無いので、これまでと同じペースで再び走り出す。
小倉に向かって、再び国道199号線をひた走る。
37km地点であと5km。あと少しだ。
ここまで5分40秒/kmのペースからほとんど落ちていない。
よし、今までにない好調なペースだ。
ここで、前にいたスーパーサイヤ人らしきランナーを追い越す。
やった!スーパーサイヤ人に勝った!!
ただ、スタート前には髪の毛が立っていたようだが、汗と雨で濡れてしまって、ただの金髪になってしまってスーパーサイヤ人ではなくなっていた笑
そして、40km地点に到達!あと2kmだ!!
あれ、前にいるランナーはもしかして・・・
4時間のペースランナーだ!!!
32km地点で抜かれてしまった時には、今回もサブフォーはダメかと半ば諦めていたのだが、それ以降も同じペースで走り続けていたおかげで、40km地点で追いついたんだ。
「いやぁ、フルマラソンにはドラマがあるなぁ。諦めずに走り続ければ、いつか追い越す事ができる。」と心の中で激しく感動する。
ここで、現況を踏まえながら、冷静になってどうするかを分析する。
【現況】
- 今は40km地点。残り2kmで、ペースを上げても我慢できる距離。
- 眼前の手の届くところに、4時間のペースランナーがいる。
- 終盤なので疲れてはいるが、どこも痛い場所などは無く、体力・走力は残っている。
【懸念点】
- 来週も京都マラソンへの参加を予定している為、無理をすると後に響く可能性あり。
決めた!
無茶したことでこのマラソン後にどうなったって知ったこっちゃない!
マラソン後に激しい筋肉痛になって来週の京都マラソンに響いたっていい!
ここは、サブフォーがかかっているので、最後の力を振り絞って、無茶してでも4時間のペースランナーを抜く!
4時間のペースランナーを再度抜いた!
この瞬間は本当に気持ち良かった。イキそうになった笑
ただ、それも一瞬のこと。
抜いた後は、かなりのオーバーペースで走っているので、もう苦しいという思いしかない。
残り1km。
沿道のボランティアの方々が最後の応援をしてくれているのだが、その応援に応える余裕は全く無し。
「早く終われ、ゴールはまだか!」という思いで苦虫を噛み潰したような苦しい顔で、ゴールへ向かう。
42km地点。この角を曲がれば、ゴールゲートが見えてくるハズ!
彼方にゴールゲートが見えてきた!
タイムは、3時間57分台だ!!
やった!サブフォー達成だ!!!
4時間以内でゴールできれば、もうどんなタイムだって構わないので、この感動を全身で感じながら、ゆっくりゴールゲートをくぐる。
2014年の目標のひとつであったサブフォーを、2014年最初の大会で早くも達成してしまった。
凄い。出来過ぎだ。
こんな自分でも市民ランナーのひとつの夢であるサブフォーを達成する事が出来た。
本当に嬉しい。
自分のランナーとしては適していない体重や体型、誰かに教わった訳ではない練習内容、月間平均100〜150km程度の走行距離の練習量では、サブフォーなんて夢のまた夢と諦めていた。
しかし、2013年12月の青島太平洋マラソンで4時間7分で完走できたので、少し色気づいて今年の目標にサブフォーを掲げたのだが、最近は仕事が忙しくて満足に練習できていないので、まさかこのタイミングで達成できるとは思わなかった。
練習もしきれていないのに達成できたということは、それだけの走力は元々あったということか。何にせよ、こんな自分でもサブフォーを達成できた事は感無量だ。
自分も今日から
「サブフォーランナーだ!」
と胸を張って公言できる。
感動と興奮冷めあらぬ中、完走メダルを戴く。
北九州市出身の松本零士氏監修のデザインらしいが、金色のメダルに彫ってあるので、写真で表現し難い。
北九州マラソン、コースは終始フラットで走りやすいコースだったし、沿道の応援もランナーの疲れを忘れさせてくれる程に盛大だったし、本当に良い大会だった。
それ以上に、自己ベストを更新してサブフォーを初めて達成できたという大変思い出深い大会になった。
そして、何よりもこの大会のおかげで、マラソンの面白さを再認識する事ができた。
この歳になってもこれだけの感動を与えてくれるものなんて他にはない。
そして、初のフルマラソンでは5時間30分程度であった自分が、遂に4時間以内で完走できる迄に成長する事が出来た。
その自身の成長を目に見える形で実感させてくれるマラソンというものは、本当に素晴らしい。