高いところから失礼致します!

「苦しさはすぐに消える。諦めた事実は永遠に残る。」を心の中で連呼して、マラソン、ウルトラマラソン、超ウルトラマラソンを嗜む変態ドMランナーです。

 サロマ湖100kmウルトラマラソン:暑過ぎる前半、55kmまで

6月29日日曜日、いよいよサロマ湖100kmウルトラマラソン本番。
午前1時半という普段あり得ない時間に起きて、午前3時にホテル前発のバスで午前5時のスタートに向けて、湧別総合体育館へ向かう。
1日の日が一番長い夏至(2014年6月21日)を過ぎたばかりということもあって、太陽が昇るのが早いのだが、北海道はそれが本州よりも30分くらい早くて、午前3時には空が明るみ始めていたから驚いた。
昨日の日の入りは19時少し過ぎ、今日の日の出は3時30分頃で、スタート会場に到着した午前4時頃にはこのとおり。
これまでの午前5時スタートのウルトラマラソンは暗かったので、これだけ明るい5時のスタートはこれまで経験したウルトラマラソンの中では初めてだ。さすが北海道の朝は違う。



この大会のコースは畜産農場の付近を走るため、農場や牧場への病害虫の侵入防止、家畜の健康を守るために、ランニング中の農場への立ち入り禁止やスタート会場に消毒液のミストシャワーコーナーが設置されている。

スタート地点の広場では、唯一のランニング番組であるNHK BS1ランスマ」で、この大会の完走という自分と同じ目標を掲げていたスマイルランナーの中村優さんがスタート前の撮影をしていた。
自分も彼女に負けないように、完走を目指さねば!と奮い立つ。




朝5時、いよいよスタート!
100kmという超長距離、そして自分との長い闘いの旅が始まった。
コンディションも万全なのだが、ただひとつ心配の種は「暑さ」。
昨年も出場された相部屋の方の話によると、昨年はスタート時点で肌寒かったそうだが、今年はそうではないため、今日は暑くなることが大いに予想された。


朝5時過ぎにも関わらず、沿道にはたくさんの方々が応援してくれていた。
ほとんど参加ランナーの関係者ばかりだろうが、それであっても盛大な応援は有難いものだ。

スタート地点の湧別総合体育館周辺を一周して、いよいよサロマ湖へ向けた一本道を走る。
雲が太陽を隠してくれていて、気温も涼しく、走っていて気持ち良い。


前半は農場や牧場近くを走る。牧場には、牧草がロール状に塊になっている牧草ロール(ロールベール)が転がっている。1年を通して牛の餌になるそうだ。
この風景、如何にも北海道らしい。


走っていると、前にゴールドのナンバーカードのランナーが。
この大会を10回以上完走すると「サロマンブルー」の称号が与えられ、更に20回以上完走すると「グランドブルー」の称号が与えられるという、他の大会では類を見ない制度がある事で有名なのだが、この方は「グランドブルー」のランナーだ。
凄い実績だ。信じられない。

サロマ湖に着いた辺りで10km地点。
序盤は6分30秒/km辺りで行き、後半は7分/kmで行こうと決めていたので、良いペース。

ただ10kmを過ぎると、この通り、雲に隠れていた太陽が顔を出し始めた。
せっかくここまで涼しかったのに、一気に気温が上がる。これ幸先が不安になってきた。

ここで、スマイルランナーの中村優さんに追いつく。
2人のカメラスタッフとトレーナーらしき人を1人引き連れている。
しばらく後ろを走っていたのだが、10km過ぎでトイレのためか、コースを外れてしまったので、自分は先を急がせてもらった。
この大会は10kmごとに関門があるので、13時間の制限時間内での完走を目指しているような自分のようなランナーはあまりゆっくりしていられない。
自分のウルトラマラソンの自己ベストは、昨年10月の四万十川ウルトラマラソンの12時間51分なので、13時間以内で走るにはギリギリのタイムだ。

視界が空けて、いよいよ今日の闘いの舞台となるサロマ湖が見えてきた。


サロマ湖の端を折り返してきたトップランナー達とすれ違う。
3位集団にエリック・ワイナイナ選手がいた。
聞くところによると、毎年、ゲストランナーではなく、自費で参加されているとのことだ。
それにしても、まだ80kmほどあるのに、かなり早いペース。
凄いなぁ、いったいどんな練習をしたらああなれるんだろうか、といつも不思議に思う。

このサロマ湖三里浜キャンプ場の奥が折り返しのはず。
しかしまぁ憎たらしいくらいの良い天気で、サロマ湖のサロマンブルーが映えている。
観光には適した天気だが、マラソンには曇っているくらいがちょうど良い。



折り返し地点。ここからがサロマ湖1周のスタートだ。

名物らしいサロマ湖大鼓で我々ランナーを盛大に応援。

20km地点到達。
雲ひとつ無い快晴に、みんな直射日光に当たらないように、日陰を探して走っていた。

早速登場のかぶり水ポイント。
夏のレースでは必ず必要になる、ボランティアの方々に頭から真水を掛けてもらう場所だ。
20km過ぎでは自分はまだ必要は無かったが、この先、この日の暑さにより必須なポイントになる事はこの時点では知る由も無かった。

30km地点到達。
時間でいうと、午前8時過ぎで、太陽がどんどん高くなるにつれて、気温が上昇。
スタート前に、4年前の2010年の大会も暑い中での開催となったそうで、その時の完走率は50%を切ったという事を聞いて、ぞっとしたのを思い出す。
本大会もサバイバルレースの様相を呈してきた。

30kmを過ぎると、国道238号線のオホーツクラインに出た。
交通量が多くて、交通規制ができない区間になるので、コースが狭い。

40km地点に到達。
この辺りから暑さによる発汗量があまりにも多過ぎて、2.5kmごとのエイドステーションを待たずして、口の中が口渇によりネバネバしてくる。
脱水症状は、その症状が出てきてからでは遅いと聞くので、エイドステーションに着いたら、大量に水分補給する事を心掛けた。

そして、交通量が多いオホーツクラインを一時外れて、サロマ湖畔の道に入る。
これまでのコースの中で、サロマ湖が一番間近で一望できる気持ちが良いコースだ。この暑さが無かったらの話だが・・・


ここでフルマラソンの距離である42.195km地点に到達。
ここには、42.195km到達のモニュメントが建てられている。
「ランナー達はここの前で記念撮影」みたいな事が案内書などに記載されていて、有名なスポットと思っていたのだが、そんな微笑ましい風景は見られず。
誰もいなかったので、自分も危うく見逃しかけた。
この暑さではランナー達にそんなことをしている余裕がないのかな。


そんな自分も足は全く痛くなくて走る事はできるものの、暑さにやられつつあるので、エイドでのかぶり水はもちろん、帽子に氷を入れて被って頭を冷やし、タオルに氷を包んでマフラーのように首に巻き、ウェアの中には氷を入れて、何とか暑さを凌いで前へ進んだ。
全身水浸しで、帽子には氷が入っているので、頭の形がいびつになっており、終始、帽子から水が滴り落ちながら走る状況。
常軌を逸したスタイルでのランニングになるが、完走のためには已む無し。
こうなったら、なり振りなんて構ってられない。足が動く限りは前へ進まねば!
50km地点到達。
よし、中間地点に到着だ!

50kmを過ぎると、サロマ湖がより間近に。
そして、かなたには茶色の見覚えがのある建物が。
あれは、我が宿泊ホテルであり、この大会のレストステーションがある、愛しのホテルルートイングランディアサロマ湖だ!



少し長めに休めるのを楽しみに、ホテルルートイングランディアサロマ湖に到着。

ここに到着するように、中間地点用の荷物をスタート時に預けてあったので、それを受け取って、汗だくになった上着だけ着替えて、汗を拭いてリフレッシュ。
そして、長丁場になる後半に備えて、補給食を大量に入れたトレイルランニング用のバックパックを背負う。
ここまで関門の制限時間の表示が無かったので、ペースが早いのか遅いのかが分からなかったのだが、後半バテる事を想定すると、ゆっくりなどしていられない。
休憩時間は15分間と決めて、早々にスタートする事にした。
過去、2012年10月の四万十川ウルトラマラソンにて、中間地点のレストステーションに到着した事に安心してしまって、まったり休憩してしまった事で、その後の80km地点でタイムオーバーになってしまった苦い経験があったので、二の舞にならない為にもとにかく慌てていた。
荷物を戻しに行くと、中村優さんもスタッフに囲まれながら、レストステーションに到着していた。
さすが、彼女もやるなぁと感心。
もし、ここに来るまでにリタイアしたり、関門でタイムオーバーになってしまったりしていたら、番組にならないであろうから、相当のプレッシャーのハズだ。
ただ、人の心配などしていられない。自分は先を急ぐ。

さて、ウルトラマラソンはここからが正念場。そして、ウルトラマラソンの醍醐味でもある。
ここまで予想外の暑さに体力を奪われた感があるが、大きなアクシデントなく、順調なペースでやって来られた。
ここのところ、練習でベアフットのランニングシューズで走ると、左足の踵が痛む症状があり、ちょっと心配していたが、この日のために購入したクッション性の高いウルトラマラソンシューズ「ゲルサロマ3」のおかげで、足も全く痛くなく、まだまだ走られる。
残り45kmだ!