高いところから失礼致します!

「苦しさはすぐに消える。諦めた事実は永遠に残る。」を心の中で連呼して、マラソン、ウルトラマラソン、超ウルトラマラソンを嗜む変態ドMランナーです。

 サロマ湖100kmウルトラマラソン後半:2年連続の100km完走!

6月28日日曜日のサロマ湖100kmウルトラマラソンの後半。
54.5kmのレストステーションであるルートイングランティアサロマ湖を、昨年よりも45分近く速く、そして元気に出発。
このホテルは自分の宿泊先でもあるので、次にこのホテルに戻ってくる時は、ゴール後で充実感と達成感に包まれて意気揚々としており、最高の気分になっているハズだ。そう願って後半戦スタート。
昨日も行った55km地点の道の駅「サロマ湖」までの登り坂を走って登っていると、急に左膝の上の筋肉が張って違和感を感じだ。
こんな症状はこれまで走ってきた経験の中で初めてだ。速さには自信がないものの、全く故障や怪我をしない身体であることだけは自慢できる自分にとって、一瞬焦ったものの、ウルトラマラソンの遅いペースであれば走れなくなる程の症状ではなく、少し立ち止まってストレッチをしたら症状はすぐに治まり、普段の走りに戻ることができた。
足の攣りのように、汗をかいたことによる一種の体内の電解質異常のようなものか。
やはりフルマラソン以上を走ってくると、身体にもいろいろなことが起こり始める。
ラソンをしていると、自分の身体の限界や特徴などを知れてとても面白いことを再認識した。まさに「No Pain, No Gain.」だ。
55km以降は下り基調の走りやすいコースを走って、サロマ湖の湖畔沿いの道路で60km地点。

40km近くを越えた辺りから陽が射し始め、こちらに来て始めて青空を見た。
陽が射しているものの、心地良い冷たい風が吹いていて、全く暑くない。
相変わらず走るにはベストなコンディションが続いていた。

少し内陸部に入って、キムネアップ岬に向かう道。
如何にも北海道らしい一直線な道を、広大で真っ平らなどこまでも続く麦畑を眺めながら走る。
広大な大地に緑色の麦が理路整然と育っている北海道らしいこの光景が大好きだ。去年も見たはずなのに、何度見ても飽きない。
「これは人間が造り出す一種の芸術だなぁ」と心の中で呟いて感動しなら、レストステーションで補給したエネルギーが効き始めたようで、6分から6分30秒/kmのペースを維持して気持ち良く走った。


キムネアップ岬辺りのサロマ湖畔の道路。
どんよりとした曇天の朝から一転、最高の天気になってきた。これがサロマ湖の青、サロマンブルーだ。


63.5km地点のエイドステーションでは、スタート前に準備しておいたスペシャルドリンク(自分専用のドリンク)を受け取った。
デカデカと目立つように自分のゼッケン番号を書いておいたおかげで、ボランティアの少年がエイドに到着する前にスペシャルドリンクを持ってきてくれた。さすが30回も開催している伝統ある大会だけに、こういう場所でのタイムロスやストレスは全く無い。さすが!
自分が用意しておいたのは、大好きなソルティライチと実家の両親が送ってくれた携行補水ゼリー。
スペシャルドリンクなんてエリートランナー専用だろう」という先入観があって、こっちに来るまでスペシャルドリンクを利用するつもりは無かったのだが、相部屋の方が準備良くガムテープやマジックインキなどを持参してスペシャルドリンクの準備をされていたので、自分もそれをお借りして、今回初めて利用してみた。
スタート会場で30km、63.5km、80kmの3箇所行きのboxに入れておくだけで簡単だったし、素晴らしいボランティアの方々のおかげでこうやってスムーズに受け取れるし、何よりも長時間に及ぶランニングの中で「あそこまで頑張れば、スペシャルドリンクが飲める!」という楽しみができて気分転換になる。
これは素晴らしいシステムだ。来年も積極的に利用しよう。

そして、「魔女の森」と呼ばれる新緑の森の中の道へ。
太陽が遮られて涼しく、木漏れ陽が美しいこの道路を走ると気持ち良くて、魔女に魔法をかけられたように自然とペースを上げて走ってしまうため、森を抜けた頃には体力が尽きて地獄を見るランナーが多いらしい。
思い返してみると、去年の自分がそうであり、この後、体力が尽きてしまい、70〜90km辺りがとにかく辛かったことを思い出した。
なので、今年は気持ち良さにつられてペースを上げないように、これまでのペースを維持して「魔女の森」をクリア。


「魔女の森」を抜けると、69km地点の名物エイドステーションの黄色の建物が目立つ斎藤商店が見えてきた。
この店の従業員の方々が盛大に我々を迎え入れて元気づけてくれ、キンキンに冷えた水や麦茶などを振舞ってくれる。
中でも特にありがたいのが冷えたタオルも渡してくれることだ。
これで顔を拭くと本当に気持ち良くて目が覚める。
今年もここに来て盛大な歓迎を受ける事ができてホッとした。

斎藤商店を過ぎると、こちらも名物のひとつである、旅人宿「さろまにあん」の屋上からの旗を降った盛大な応援は、もちろん今年も健在。今年も疲れている中に笑顔をもらえた。



70km地点に到達。

ここからサロマ湖鶴雅リゾートというサロマ湖畔にあるホテルの中でもルートイングランティアサロマ湖と共に大きいホテルまでは、延々と退屈で単調な一直線の歩道を約4kmひた走る。
それを覚悟していたこともあって、10km毎に補給する事にしていたお気に入りのHONEY STINGERというオーガニックエナジージェルを斎藤商店で注入していたおかげか、今年は体力が続いて一度も止まらずにペースを維持して走る事ができ、たくさんのランナーを抜く事ができた。
73.8km地点のサロマ湖鶴雅リゾートに到着。青空がきれいだ。
昨年は、ここに既にゴールして宿泊ホテルに帰ってきた完走メダルを首にかけたエリック・ワイナイナ選手が応援に来ていて、一緒に写真を撮って頂いたが、今年は去年よりかなり早い時間に来ることができたので、さすがにいなかった。

ここからこの大会の最大のハイライトである80km地点以降のワッカ原生花園までの約6kmは、サロマ湖畔の湿地帯のような単調な歩道を延々と走る。
昨年もここで完全に体力が尽きて何度も歩いてしまい、胃も機能しなくなって立ち止まっては吐いていたり、ゲップをしたりして心が折れそうになった。
今年はそれ程ではなかったものの、今年もエネルギーが切れてきてペースがかなり落ちてしまい、思い返せばこの約6kmがこの大会の中で一番辛かった。
昨年とほぼ同じ状況に陥ってしまったことで、辛い顔をして走っている最中に「サロマ湖鶴雅リゾートでエネルギー補給しておけば良かったなぁ」と激しく後悔。
この大会の70〜80kmは自分にとってまさに鬼門だ。来年は気を付けよう。

ペースがた落ちの状態で80km手前のワッカ原生花園の入口に到着。
70〜75kmまでは良いペース出来ていたものの、75〜80kmはペースが落ちてしまって、この10kmは7分/kmに落ちてしまった。
仕方ないがこれが今の自分の実力だ。残り20km、このペースを維持していくことを目指した。

ここで、最後のスペシャルドリンクをゲット。
準備しておいたのは、北海道限定で発売されているガラナ
強烈な炭酸とカフェインで気分転換と共に、疲れで機能しなくなっている胃の中に溜まったガスを口の中に指を突っ込んで強制的にゲップして排出し、楽になったところで再スタート。

ワッカ原生花園に向かう森の中で80km地点。

森を抜けると、ワッカ原生花園に到着!
去年は暑さと疲労、そして関門の制限時間が間近に迫っている事への焦りで全く楽しめなかったが、今年は疲れはあったものの、この素晴らしい光景を楽しむ余裕はあった。
草原にある細い道をランナーが往復する。

サロマ湖オホーツク海の間にこのワッカ原生花園があるため、広大なオホーツク海を見ながら走る。

ここは小刻みなアップダウンが続き、疲れた身体に相当応える。
去年はここでも何度も歩いてしまったが、今年は負けずに走り続ける。

ワッカ原生花園に来ると楽しみなのは、草原の中に咲くエゾシカシユリとハマナス
ここ数日の寒さで咲いているのかを心配していたが、いざ来てみると、そんな心配は無用と言わんばかりに、たくさんのエゾシカシユリとハマナスの共演が見られた。
オホーツク海の冷たい風に晒されながらもたくましいものだ。そのたくましさを自分も見習わなければと思った。

オレンジ色が特徴のエゾシカシユリ
ここワッカ原生花園は、エゾスカシユリの日本最大の群生地だ。
先日走って行った大阪舞洲のユリ園でもたくさんのユリを見たが、そこにもオレンジ色のユリは無かった。
80kmを超えて走ってきた苦労もあって、大阪で見たソレよりも貴重で綺麗に思える。


こちらは、ピンク色のハマナス
主に北海道に分布して、主に海岸の砂地に自生するそうだ。こちらも美しい。

エゾシカシユリとハマナスの共演を見ながら、約9km走って、ワッカ原生花園の折り返し地点に到着。
昨年は「どこまで行けば折り返しなんだ!」と文句を言いたい気分になっていたが、今年はコースと距離を覚えていたので、気分は楽だった。
サロマ湖に浮かんでいる建造物は、オホーツク海からサロマ湖への流氷の進入を妨げるためのアイスブームだ。あれがそうか。


昨年はこの辺りでは疲労困憊で、エイドステーションで被り水は当たり前、氷をタオルにくるんで首に巻いて苦悶の表情で走っていたが、今年はワッカ原生花園のコース上のカメラマンに笑顔でポーズを決められるほど余裕があった。

折り返し地点を過ぎると、90km地点に到達。
去年はこの先の関門の制限時間の12分前に到達することができてホッとしたのを思い出したが、今年は1時間半以上前に通過できた。去年からの成長を感じられて感動。

95kmを過ぎて、ワッカ原生花園のコースもそろそろ終わり。
このコースを走るのは2回目なだけあって、去年よりも長くは感じなかった。やっぱり走ったことがあるコースだと気分的に楽だなぁと実感。


ワッカ原生花園と別れを告げ、森の中で97km地点。

森を抜けてワッカ原生花園の入口に戻ってきた!
ここまで来れば、もうゴールは確実。「今年も完走できた!」とほっとひと安心して笑顔になった。

98km地点に到達。あと2km。
ゴール間近の嬉しさで、疲れも足の痛みも何も感じない。

99km地点に到達。あと1km。
ここからゴールがある北見市常呂町スポーツセンターまでの一直線の広い道は、本日、見事に100kmを完走したランナー達のためのウイニングロード!

徐々に沿道の応援の数が増えていく。
「おつかれさまー」「お帰りなさい」のたくさんの声に100km走ってきた苦労が報われる。


角を曲がると、念願のゴールゲートが見えてきた。歓喜のゴールまでもうすぐ。


去年は制限時間間際のゴールで完走者の数がピークだった上に、ゴールゲートをくぐることだけで精一杯だったのだが、今年はこの時間のゴールであればランナーはまばらで、1人でゴールシーンを撮ってもらうには最高のタイミングだった。
ここまで来たら順位やタイムなんてどうでもいいので、前を行くランナーがゴールゲートをくぐるのを立ち止まって待ち、自分ひとりでゴールゲートをくぐって写真を撮ってもらった。
ゴール後に写真を見てみると、おかげさまでかなり良い写真だった。これはケース付きで購入して、部屋に飾っておこう。


今年は、寒過ぎず、暑過ぎずという絶好のコンディションの中で、2年連続で無事に完走することができた。
そして、100kmを通してペースもほぼ想定通りで走りきることができ、「11時間18分」という出来過ぎた自己ベストでの完走を成し遂げた!
完走タイムとして、今回の目標というか目安にしていた、作家でありランナーでもある村上春樹さんが、ランナーであればほぼ全員が読んでいるである名著「走ることについて語るときに僕の語ること」の中で触れていた、1996年に本大会に出場した時に出したタイム11時間42分超えも果たすことができた。
その上、昨年楽しめなかったワッカ原生花園も今回は楽しむことができ、生涯の記念になるであろうゴール写真も撮ってもらえて、昨年の忘れ物を全て回収することができて、申し分のない結果だった。


第30回記念大会の完走メダル。
これも昨年と同様にメダル立てを購入して、家に飾っておこう。


完走後、達成感と充実感、気持ち良さに包まれた放心状態の中、荷物を受け取って着替えた後、ゴール会場でのフェアウェルパーティーで、前日受付時にもらっていた1,000円券を使って、この日初めてになる固形物である「ホタテカレー」を食べ、ビールを飲んだ。
精神的に満たされていた事もあって、サロマ湖の名物のひとつであるホタテ貝がとても美味しかった。
ゴール後の食べ物やビールはやっぱり最高だ。

ゴール会場から宿泊先ホテルに戻るバスに乗る前に、ゴール会場にあるサロマンブルー(10回完走)達成者達の足型を見物。
「自分も将来ここに足型を残すことができたらいいなぁ」と思いを馳せた。

無事、2年連続完走できたワケだが、猛暑の中でエイドステーション毎で被り水をし、キャップに氷、ウェアの中にも氷、タオルに氷をくるんで首に巻いて、全身びしょ濡れになって、なりふり構わず死に物狂いで前へ進み、常に関門の制限時間に追われ、制限時間の7分前に何とか完走できたサバイバル感満載だった完走率56.6%の昨年に比べ、今年は余裕を残して完走できたので、何だか物足りなさを感じてしまった(最高のコンディションであったためであろうが)。
サロマンブルーを目指しているので、来年もサロマには継続して出場するものの、1年間の目標をサロマにはせず、今後は更なる刺激と高みを目指して新たな目標を掲げてみようと思った。
数年前までは「100kmを1日で何十時間もかけて走るなんて、常人のする事ではなく、正気の沙汰じゃない!できるワケがない!!」と思っていた人間が、今や今大会を含めて100kmを7回も完走できるようになり、物足りなさを感じるくらいまで成長する事ができた。
サロマを目標達成の通過点と考えられるくらいに成長できたことを実感できて、とても嬉しい限りだ。
この年齢になってもまだまだ成長でき、その自分の成長をこういった形で感じる事ができるマラソンってやっぱり素晴らしいし、面白い。改めてそれを実感した100kmの楽しい旅だった。