高いところから失礼致します!

「苦しさはすぐに消える。諦めた事実は永遠に残る。」を心の中で連呼して、マラソン、ウルトラマラソン、超ウルトラマラソンを嗜む変態ドMランナーです。

 小江戸大江戸200k:小江戸コース91km、快調に走るもヒドイ靴擦れを負う

3月5日土曜日、「小江戸大江戸200k」当日。
結局、0時過ぎに眠った事もあって5時間程度しか眠る事が出来ず、果たしてこんな睡眠時間で24時間を超える闘いを制する事が出来るのかが不安なまま、川越プリンスホテルをチェックアウトして、スタート地点の本川越駅近くの蓮馨寺(れんけいじ)へ向かった。
到着すると、境内は既にたくさんのランナーが集結していた。
今日から明日にかけて200kmを走ろうとする変態ランナーがこれだけ集まっている光景は異様(良い意味で、敬意を込めて「エクストリーム(extreme:過度な、極端な)ランナー」と言った方が誤解が無いかも)。
自分も変態である事は重々自覚しており、周りからそのように言われるが、ここにいる方々の変態度は自分よりも上だ。今回完走できれば、自分も彼らの仲間入りができて嬉しいものだ。

受付でこの大会の参加Tシャツをもらえた。
別の大会でこれを着たら自慢できそうだ。今回完走できた暁には、の話だが。


慌ただしく境内で小江戸コース91kmを戦う準備をして荷物を預けて、午前8時にいよいよ小江戸大江戸200kの小江戸コース、スタート!(2016/3/5、8:07)
大会事務局から渡されたリストバンドを専用機器に自身で通してからのスタートになるため、8時ちょうどに駆け出すランナーなどおらず、ぞろぞろとゆっくりスタート。これまでのランニング経験の中で最長になる長い長い旅が始まった。

最初は川越市内を走る。ここ川越は、江戸時代に城下町として栄え、現在も古い街並みが残っていて「小江戸川越」と呼ばれる観光スポットになっている。ただ今回はそんな街並みを楽しむ時間は無し。
埼玉県内をぐるっと91km回ってきてここに無事戻って来られる事を願いながら走る。

川越市街地を越えた後はしばらくのどかな田園地帯をのんびり走る。
何の変哲もない田んぼの畦道を走っているのだが、普段、高層ビル群の都会のど真ん中で過ごしている自分にとって、こういう機会でも無ければまず来ることはないであろうこんなレアな場所を走られて、その非日常さがとても刺激的で楽しかった。埼玉県内の見知らぬ場所で何をやっているんだろうと心の中で笑っていた。

20km近く。事前に見ていた地図によると、ここからしばらくは荒川の河川敷コース。
土手に上がる手前では私設エイドを設けてくれていた。この大会の特徴として公式エイドが平均して約20km間隔しかないので、ここに限らず、この先も私設エイドがたくさんあって、本当に助かった。

荒川のこの吉見町付近は堤防の間隔が約2.5kmと荒川の中でも最大であるそう。確かにどこに川があるの?と聞きたくなるくらい広い。
景色が良くて走っていて気持ち良かったが、そんな風に思うのは最初だけ。殺風景な景色が延々と続く、精神的に応えるコースになる事はこれまで数多く出場したマラソンで何度も経験しているので慣れっこで覚悟していた。


20kmを過ぎて最初の吉見エイドに到着(2016/3/5、10:28)。
エイド間隔が長いので、みんなここでしっかりと給水・給食をする。
そして、リストバンドを専用機器に通して、トレランバッグに地図と共に入れてある記録用紙に自分で通過時間をメモる。こういったスタイルのマラソンに出場するのは初めてなので、とても新鮮だった。

再び、荒川の河川敷コースを走る。もう春も近いので、荒川の土手には黄色い菜の花が咲いていてとても綺麗だった。

それに荒川の河川敷では、自分達のように走っているそばをたくさんのサイクリストが爽快に飛ばしていた。信号が無い一直線の道路なので、この土手は絶好の練習の場である事が推測できた。
荒川はあまりにも広いので、動力(エンジン)がパラグライダーに取り付けられたモーターパラグライダーで地上から飛び立ってく空中遊泳を楽しんでいる人や、河川敷にある小さな滑走路から小型機を飛ばして遊覧している人がいて、走りながら彼らの遊んでいる姿を見て「楽しそうだなぁ」「いろいろな趣味があるんだなぁ」と思うと共に、彼らも200kmを走ろうとしている自分たちと引けを取らないくらい、大概、変態だなと笑えた。


30kmを過ぎて、2つめの公式エイドである手島エイドに到着(2016/3/5、11:42)。
公式エイド数が少ないためでもあるが、エイドに置いてある給食・給水はこれまで出場してきたウルトラマラソンの中でも一番の充実振りだった。給食はたくさんある上に、炭酸飲料も通常はコーラだけであるが、本大会はコーラ以外にも豊富。フルマラソンでは腹が膨れてしまうので炭酸飲料は厳禁だが、ウルトラマラソンではこの喉越しが喉の渇きを癒してくれるので、スポーツドリンクと同じくらい必須の飲料だ。


荒川の河川敷近くの畑の畦道も走るのだが、民家には梅の花が咲き始め、畑にはラベンダーのような紫色の花が咲いていて、春の訪れが感じられた。まるで桃源郷を走っているような気持ち良さだった。


この手島エイドを過ぎてから次のエイドまでが長かった。
この日は天気が良かった上に走っているうちに昼を過ぎて暑くなった事も重なって発汗量が増し、喉がカラカラ。
河川敷コースで自動販売機は無いし、ハイドレーションを川越には持ってきていたものの、街中を走るから不要だろうと判断して持ってこなかったので、45kmを過ぎて荒川河川敷コースがようやく終わったところで久し振りにコンビニを見つけたので、そこで水分補給。
水分補給で回復した後、50kmを過ぎて、ようやく3つめの公式エイド、浄恩寺エイドに到着(2016/3/5、13:51)。
前のエイドから約20km。「エイドはまだかな」と思いながら走っていた事もあって、何だか長く感じだ。
エイドが少ない事は事前に分かっていたので、事前にエイドの間隔を把握して、携帯用の給水ボトルでも持ってくるなど何らかの対策を考えておくべきだった事を少し後悔した。

浄恩寺エイドを過ぎた後は、ここまでの荒川河川敷コースとはまた別の意味で難コースだった。
交通量の多い国道254号線のアップダウンのある何にも無い山の中の峠道を延々と走り続ける。50kmを過ぎてのこのコースは精神的に応える。が、こんなコースは慣れっこ。まだまだ大丈夫。

目指すべき川越市まであと29km。
次のエイドまではそんな山の中の国道沿いにたまにあるコンビニが我々のエイドステーションであり、オアシス。
コンビニを発見すると、ここぞとばかりにコースを逸れて、コンビニに走って行くランナーの姿を見るのが新鮮だった。
自分も最初はレース中にコンビニに入るのは時間もロスするので抵抗があったが、この大会は完走目的なので、コンビニに入った事で失う数分など何の影響もなく、割り切ってコンビニを有効活用しないと戦っていけないことを痛感。

国道254号線を外れて70km過ぎ。4つめの公式エイド、唐子エイドに到着(写真撮り忘れ・・・、2016/3/5、16:20)。
ここで昨年のサロマ湖100kmウルトラマラソンで同室だったウルトラランナーのTさんに追いついてしまった。
「持久力あるよね〜」と褒めて頂き、ご自身は弱気な表情だったが、お互いにこの先の長い旅での健闘を讃え合って別れた。この後、無事持ち直されたようで、川越ですれ違って以降はお会いする事はなかった。さすが、自分以上にマラソンに連戦されている実績と1週間前の東京マラソンでサブ3.5を達成された走力の持ち主だ。
自分は、ここまで快調に1km6分30秒ペースで走って来られた事もあり、この後の事を考えると「ちょっと飛ばし過ぎなのでは?」と不安に思い始めたので、ペースを1km6分45秒から7分まで落として走り始めた。
ここまで前にランナーがいたり、道案内があったりでほぼ地図を見ずに走って来られたのだが、エイドを出発した直後、信号待ちのタイミングで前のランナーが見えなくなり、不安になって後ろを走られていたのをきっかけに知り合ったSさんと80km過ぎのコンビニでお別れするまでの約10kmを一緒に走らせて頂いた。
話しながら走った事で疲れなどが紛れただけではなく、昨年、この後の大江戸コースを完走されたご実績と本大会に出場されている多くのお仲間から得たこの後に待つ難関の情報や心構え、闘い方などを共有して頂き、本当に有り難くて助かった。
それと共に、今回200kmを戦うにあたって、自分があまりにもノープランで何にも知らずにこの大会に挑んでいる事を痛感。
ここまでは順調だが、このあらゆる面での準備不足により、この後の大江戸コース終盤で地獄を見る事になる。
80kmを過ぎて、小江戸コースが残り10kmになったところで日が暮れて真っ暗になった。
持参したヘッドライトと蛍光反射材を身につけて走るものの、土地勘がまるでないコースなので、ひとり旅になったらコースをロストしかねないと不安になり、前を走るランナーを見失わないようについて走って行き、見覚えのある川越市街地に戻ってきた。

そして、無事、スタート地点でもあった蓮馨寺に戻ってきて、小江戸コース91kmを完走!(2016/3/5、18:56)
約11時間かけて、予定通り20時前に到着できてほっとした。


朝から固形物をほとんど食べていなかったので、ここで大会側が準備してくれたカップラーメンをいただく。
あっさりした塩味がとても美味しかった。それに夜になって寒くなってきたので、身体がとても温まった。

ただ、ここまで快調に走る事ができたものの、この日のために新調したHOKA ONE ONEのCLIFTON2が足に合わず、両足の小指が靴擦れでヒドイことに。
せっかくスタート前に靴擦れ対策を施していたのに全くムダだった。
途中から痛み始めたものの、走れない程ではなかったのでムシしていたのだが、蓮馨寺に戻ってきて荷物置き場でシューズを脱いで、靴下を取ってみると、見るも無残な状態になっていた。
右足の小指は見た事が無いほどの水膨れで、左足の小指は更に酷く、水膨れが破れて、小指の皮と共に爪が剥がれてしまった。
こんな惨状でよく91kmを走り切ったものだと感心するものの、今日はこの後まだ113kmもあると思うと絶望的な気分になった。
頭の中を「こんな状態ではここでDNF(Did not finish:リタイア)にした方が良いのでは?」という考えが過ぎった。
ただ、その決断をするのはやれるだけの応急処置をしてからと思い、水膨れを潰し、こういう事もあると見越して持ってきておいた消毒液でしっかり消毒して、持ってきた絆創膏を全て使って、両足の小指を保護。
そして、自分の足に合わないHOKAのシューズに見切りをつけて、セカンドシューズとして持ってきた、2014年のサロマ湖ウルトラマラソン用に購入して、今は練習用になっているASICSのゲルサロマに履き替える事にした。
そして、ここで諦めずに大江戸コース113kmをスタートして、行けるところまで行ってみようと決断。
無謀な判断かと思われたが、大江戸コースをスタートしてみたら、受傷している両足の小指は全く痛くなくて違和感ゼロの走りやすさ。
「自分の足に合っている靴だとこんなに快適なんだ」と感動。
そして、今回、このゲルサロマを持ってきていなかったらDNFだったと思うと、九死に一生を得た思いだった。
さすが、2年前にグランフロント梅田のASICSストアのランニングラボでFOOT IDを測定してもらった上で選んだシューズなだけある。
事前にHOKAを履いて試走した時から自分の足に合わない傾向はあったのに、高い買い物をしたので、HOKAのせいにしたくないと信じて今回履いてスタートしてしまった事を激しく後悔。
まさかこれまでのマラソン経験の中で一番酷い靴擦れをこの大会で経験することになるとは・・・
何たる大失態。
今後、自分の足型は一般ランナーのそれとは異なる事を自覚して、ちゃんとシューズ合わせをしようと心に誓いつつ、大江戸コース113kmをスタートした。
ゲルサロマに感謝!バイバイ、CLIFTON2!!

大江戸コースのスタート前。疲れているというより、靴擦れで痩せ我慢の笑顔だ。