高いところから失礼致します!

「苦しさはすぐに消える。諦めた事実は永遠に残る。」を心の中で連呼して、マラソン、ウルトラマラソン、超ウルトラマラソンを嗜む変態ドMランナーです。

 鯖街道ウルトラマラソン:福井・小浜市から京都・出町柳まで無事完走

5月22日日曜日、鯖街道ウルトラマラソン当日。
朝6時スタート前、鯖街道の起点でこの日のスタート地点となる福井県小浜市のいづみ町商店街はテンションの高いトレイルランナーでごった返していた。
自分も他ランナーと同様に、事前に77kmの行程中、3分の1はトレイル(山道)で3つの峠を越えて、ここから京都府出町柳まで走る珍しいコースである事を聞いていたので、トレイルランニング用のザックにハイドレーションを積んだ完全防備で臨む事にした。

朝6時、鯖街道ウルトラマラソン、商店街の中からスタート!

スタート直後は小浜市内をゆっくり走る。山には朝靄がかかっている。早朝はとても気持ち良い。今日も絶好調だ。

眼前に山が見え始め、徐々に人家が少なくなってきた。いよいよ最初の峠越えが始まると覚悟した。

有名な都市型マラソンなどとは異なり、沿道の応援は少ないものの、少ないだけあってその有難み・貴重さが身に染みる。日曜日の朝早くから有り難いことだ。

人家がなくなり、ロードだけど上り坂が始まる。最初の峠である根来(ねごり)峠に向かう根来坂の始まりだ。


10km走って最初のエイドステーションに到着。
鯖街道を象徴しているこの壁画、事前に写真で見てました!



このエイドを越えると、いよいよ本格的な上り坂。とても走っていられないくらい急峻な坂だったので、歩きもいれながら前に進んだ。

坂道を上りきり、15km地点の上根来集落に到着。


この後、少し下り坂になったので、ほっとひと息ついて、「これで終わりなら最初の根来峠は大した事ないな」と思ったら大間違い。
徐々に舗装道路ではなくなり、本格的なトレイルコースに変わり、ここからが根来峠の本番だった。やはりそう甘くはない。

古過ぎて鯖移動の文字が見えないが鯖の形をした、根来峠入口のこの看板がこの大会の案内の写真になっていた。


トレイルの上りを快調に上って、根来峠の最高点に到着。まだまだスタートしたばかりなので余裕。
山道の上り坂は確かに辛いが、その辛さの先には絶景というご褒美が待っている。これがあるからトレッキングやトレイルランニングを趣味とされている方々はどれだけ辛くても止められないのがよく分かる。
この日は天気が良くて、景色がとてもきれいだった。


そして、上り坂があれば必ずその先に待っている下り坂という楽しみが待っている。自分も含めて多くのトレイルランナーが下り坂を走るのは得意としているので、上り坂で歩いて体力を温存した分、ここで取り戻そうとペースをアップして下る。ただ、まだ序盤なので、ここで脚を使ってしまわないように控えめに。

下った後は、再び舗装路に出た。家がちらほらあって、キャンプなどをしたら楽しそうなのどかな村のようだ。
緑が多くて時間が止まったようにのんびりしており、横には川が流れ、普段、都会の喧騒の中で暮らしている自分にとっては、この風景の中で走る事だけで新鮮で、とても気持ち良くて楽しかった。


コース沿いに住んでおられる方やこの大会の存在をご存知の方などが私設エイドを設けてくれていて、自分も炭酸飲料を頂いた。走っている時の炭酸飲料の喉越しは最高!
タイムを狙うフルマラソンの時は、腹が膨れてしまって厳禁なのだが、完走を狙うウルトラでは欠かせない飲料だ。自動販売機で買えるように、一応、小銭を持ってきたのだが、要らなかった。

35km地点の渓流魚センターに到着。かわいい子犬が我々ランナーを応援。


40km地点の久多のエイドステーションに到着。
晴天で昼に近づいてきた事もなり、暑さもピーク。でも、木陰を走っている分には涼しくて、あまり気にならなかった。


15km続いたロードが終わり、ここから2つ目の峠であるオグロ坂峠だ。ここにも鯖街道っぽい看板を発見。

どこまで続くの!?とツッコミたくなるつづら折りの山道を前のランナーについて、自分なりの早歩きで登る。この先に待っている下りで走るために体力を温存。焦らない焦らない。

よし、オグロ坂峠の最高点到達!ここから先は下り坂だ。

ここぞとばかりにペースアップ。
ここの下り坂は広い上にオフロードだけど砂利道でとても走りやすく、とても気持ち良かった。
これこそがトレイルランニングの醍醐味だなぁと再認識。


この下り坂を下りた後のエイドステーションでは、この大会の名物らしい冷やしあめがランナーに振る舞われた。
冷やしあめは関西ローカルな飲料で、麦芽水飴を湯で溶いて生姜を加えた冷たい飲料だ。疲れた身体にピッタリだった。


オグロ坂峠から5kmもしないうちに、最後の3つめの峠である杉峠の上り坂が始まった。
ここは大きな石がゴロゴロしているガレ場で、これまでで一番歩き難かった。

そして、56km地点の杉峠の最高点に到達。登りにくかったが、短いので、比較的楽だった。


もう後は下り坂とフラットな道のみでほっとひと安心。
ここからドライブウェイを鞍馬に向かって一気に下る。
最後の下り坂と思って一気にペースアップしたら、7kmもこの下り坂が続くとは露知らず、次第に太ももの前側の大腿四頭筋がパンパンになってきた。
ここでのペースアップが今回の最大の誤算。この後、ゴールまでペースアップが出来なくなってしまった。初出場者故の大失敗だ。

無事、鞍馬に到着。
過去、京都の東山コースで初めてトレイルランニングに挑戦した時、京都の蹴上をスタートして、大文字山比叡山に行き、ここ鞍馬がゴールだった。ゴール後、この近くにあるくらま温泉に入って、疲れを癒したのを思い出す。
ここ鞍馬は、京都を代表する観光地のひとつであるため、たくさんの観光客が終盤に迫って疲弊している我々ランナー達を稀有な眼で見ているのが面白かった。
このエイドの少し先にある叡山電鉄鞍馬線の終着である鞍馬駅の前には、鞍馬天狗の大きなお面が飾ってあって写真に撮っておきたかったのだが、今回は諦めた。


これまでのトレイルから一転、住宅街の道を鞍馬から貴船口を過ぎて走り、最後の賀茂川沿いに入る手前で、24時間リレーマラソンや他大会で度々見掛ける鴨川走友会の方々が私設エイドを設けてくれていて、自分もかき氷をいただいた。この日は暑かったので、とても有り難かった。


そして、最後の賀茂川沿いのコース。フラットで走りやすい道が延々と続く。
ここは家族や若者達が集まる京都市民の憩いの場であり、ランナーにとっては格好の練習場だ。

さっきの7kmの下り坂で脚を使ってしまってペースアップができない苦しい中に走り、「ゴールゲートはどこだ!」と先の先を見ながら走り続けた。

「おつかれさま」ならぬ「おつかれさば」。なるほど。
賀茂川沿いではたくさんの応援をいただけた。


そして、ようやく、眼前に賀茂川と高野川が交わって鴨川になる場所「鴨川デルタ」とゴールゲートが見えてきた。
ゴール前のスタッフの方々とハイタッチして、無事ゴール!


77kmを無事完走できた。
これまでもこの大会に出場したかったのだが、毎年、地元・岐阜県で開催される「高橋尚子杯ぎふ清流ハーフマラソン」と同じ日にこの大会が開催されるために断念していたのだが、今年は1週ズレてくれたおかげで、念願の出場を果たせ、完走できた。長年走りたかった大会だけに感慨深いものがあった。
でも、最後にペースアップ出来なかった事が残念。上り坂が以前よりは早く登る事が出来るようになった感があり、抜かれる回数も減ったような気がしたが、まだまだだった。
ゴール地点は、たくさんの完走者や完走者達が所属するランニングチームの仲間達や家族でごった返しており、この日の奮闘を共有できる知り合いがまるでいない自分は何だか寂しい気分。
この日の目的は果たしたので、完走の余韻もままならないうちに、早々に帰路に着いた。
鴨川に架かる鴨川大橋の上から眺めたゴール地点と鴨川デルタの光景。


帰りは、ゴール地点最寄りの京阪電車の始発駅である出町柳駅から特急に乗って、自宅近くの北浜駅まで1本で行く便利さ。始発で確実に座る事が出来たので、北浜までは爆睡だった。北浜から1駅の堺筋本町に住んでいる自分にとって、帰りはかなり便利だった。
自宅に戻って、大会参加賞を見ると、定番のTシャツではなく、迷彩色のトートバッグ。これは珍しい。鯖街道を示す鯖のタグが付いていた。


そして、せっかく鯖街道を走った縁なので、エントリー時に申し込んでいた鯖関連のお土産。
鯖寿司と鯖缶。おいしかった。


そして、完走者に配られる鯖の丸焼き。
これはかなりのインパクト。これこそがこの大会の完走メダルみたいなものだ。
とても肉厚で、1人で食べる贅沢さ。鯖の塩焼きが大好きな自分にとって、これがあれば、ご飯を何杯でも食べられる程に美味だった。

トレイル込みの77kmであっただけあって、ロードの100kmマラソン完走後よりも筋肉痛や靴擦れなどのダメージが大きかった。でも、トレイルのアップダウンにより相当に足が鍛えられ、6月のサロマ湖100kmウルトラマラソンに向けてとても良い練習になった。