高いところから失礼致します!

「苦しさはすぐに消える。諦めた事実は永遠に残る。」を心の中で連呼して、マラソン、ウルトラマラソン、超ウルトラマラソンを嗜む変態ドMランナーです。

 星の郷八ヶ岳野辺山高原100kmウルトラマラソン:無事完走!東の横綱を制す!!

2017年5月21日曜日、星の郷八ヶ岳野辺山高原100kmウルトラマラソン当日。
本体はこれまでに出場してきたウルトラマラソンとはワケが違うので、緊張して午前1時過ぎに起床して、野辺山駅から離れた旅館の方々に送ってもらって、スタート地点である南牧村社会体育館に戻ってきた。
朝5時が近づき始めて、夜が明けて明るくなってきた。
野辺山高原で見る夜明け、とても綺麗だった。



午前5時、ひと足早く、速いランナーや過去に完走しているランナーなどがスタート。

20分後、ウェーブスタートの第2群として、我々もスタート。
遠方からの参加者にとって、この20分は大きい。5時に出発していれば、今日中に帰阪出来たかもしれないのに・・・と不満を言いたい気持ちがあったが、果たしてそんな文句を言える時間に帰って来られるかどうかが分からない。

序盤10kmに至るまでは野辺山高原内の平坦で何もない道をみんあでゾロゾロとランニング。
広大な大地にキャベツ畑や牧場など如何にも、という風景が広がり、気持ち良かった。
昨日見た雄大八ヶ岳も健在。今日もきれいだ。



昨日見に来た、JR鉄道最高地点を示す石碑の前も走った。

さて、ここからはウルトラマラソンなのに、オフロードのトレイルコース。


相部屋になった方々とこのウルトラマラソン特有の序盤のトレイルコース用に、トレイルランニング用のシューズを序盤は履いた方が良いと大会側から言われていて、一応持って来てはいたが、途中で履き替えるのが面倒なので、通常のウルトラマラソン用のシューズで臨んだが、トレイルというよりは林道で走りにくい、ということは無かったので、通常のシューズで十分だった。
それに序盤なので、最初の緩い登り坂は走って登って、あっという間にコース最高点、1,905mに到着。

その後は林道を一気に駆け下りて、23km地点でオフロードは終わり。
懸念していた序盤のトレイルコースは大したことは無かった。
続いて、八ヶ岳周辺のアスファルトで舗装された人気のない道路を走る。下り基調ながら、時々登り坂もある小刻みなアップダウンが続くコースだった。


そして、42kmの八峰の湯(ヤッホーの湯というらしい)に到着。42kmの部のゴール地点でもある。ここまで山道で応援は全くなかったのだが、ここで久々にたくさんの沿道の方々から応援を受けた。
ここでは100kmの部のランナーも温泉に入る事が出来るらしいが、そんな事をしていたら、制限時間にひっかかる。そんな余裕のあるランナーがいるのかが甚だ疑問。
自分は上着だけ着替えて、早々にスタート。

この後は街中のコースになるのだが、日が高くなるにつれて、暑い暑い。
5月下旬なのにやたら暑くて、日中は暑さとの戦いになってきた。
半分の50km、小海中学校横公園に到着。
この暑さに、みんなエイドで被り水。自分もたまらず被り水をして頭を冷やして再スタート。


50km地点のコース最下点880mから北相木村役場の59km地点(982m)までの100mの登りがダラダラ続き、そこに暑さもプラスされて、思い返せば一番辛かった。

この大会で唯一の折り返し地点の北相木村役場に着いた時に、この暑さでリタイアを宣言しているランナーを数人見掛けた。
その気持ちが分からなくもないが、ウルトラマラソンの長い旅でこういう辛くて不調な波が来るのは当たり前。
そこを我慢して走り続ければ、必ずまた好調の波がやって来る事をこれまでの経験からよく分かっているので、一時の辛さで諦めるなんてことは絶対にしない。そんな事をしたら、
一生、自分に負けた後悔として心に残り続ける。
一歩でも前へ進むことができるのであれば、必ず好調の波がやって来ると信じて前進あるのみ。
北相木村役場では携行補給食によりしっかりエネルギー補給したら、下り基調の59km以降でその好調の波がやって来た。
ただのガス欠だったようだ。「待っていたのはこれだ!」と言わんばかりにペースを上げて走って、南相木村へ。

時間は真昼間で暑さもピーク。暑くて走っていられないけど、エイド毎で被り水して前に進む。
みんな、なりふりを構わずに前へ進んでおり、後半になっていよいよサバイバル感が増してきた。
でも、自分が求めていた刺激はこのサバイバル感だ。
日頃の仕事のつまらなさとは正反対のこの極限状態がたまらなく楽しかった。ドM変態ランナーだ。
暑いのは日中の数時間だけ。ここはガマンガマン。

そうして走っているうちに、徐々に山の中のコースに入って行き、71kmの清見の湯までやって来た。
ここで71kmの部のランナーはゴール。100kmのウルトラマラソンでは珍しい2つ目の着替えポイントだが、自分は着替えず、栄養補給と携行補給食の補充だけでいざスタート。あと29km。
ここに至る直前でこれまで以上に急峻な登り坂があって、この先にあるこのコース最大の難関として名高い馬越峠越えが間近に近づいている事が伺えた。

清見の湯を出て数キロ、眼前に馬越峠の文字が。いよいよやって来た。

スタート前までは「馬越峠を走って登る!」などと寝ぼけた事を言っていたが、この暑さでそんな体力も気力も無くなっており、途中からは「馬越峠までは何としてでも走る!そこで時間を稼いだ分、馬越峠は歩く!」に変更していた。
近くにいたランナー達も自分と状況は同じようで、ここは走るのは諦めてみんな歩いていた。
自分はここまでずっと走ってきたので、やっと歩いて体力温存できると思い、馬越峠の登り坂は大歓迎だった。
登り坂は歩くといっても、少しでも鍛えるために、早歩きで登る。
景色を見ながら、のんびり早歩きで登っていたら、意外と辛くなくて、他のランナーを登りで追い越すが出来た。
苦手としていた坂道での登坂力が上がったのかな。


そして、馬越峠の最高点に到着。79km地点。ふぅ、長かった。だけど、これまで経験してきた数々の坂道からしたら大したことは無い。村岡ダブルフルの繰り返しある坂道の比ではない。

さて、登り坂を登ってきたということは下り坂あり。登り坂で温存した体力を開放して、下り坂を一気に駆け下りて、とても気持ち良かった。

快調に飛ばして、最後のチェックポイントである87km地点の川上村原公民館に到着。
この辺りに来ると16時を過ぎていたので、暑さはなくなったのだが、さすがに疲れてきた。
下りで飛ばし過ぎたか。でも、最後なので、ペースなんて関係ない。ここはとにかく前に進むのみ。

90km地点、95地点と、最後の10kmはこれまでのアップダウンの変化に富んだコースから一転、フラットで何もないコースをただただ走るのみ。
ゴールが近い、つまり野辺山高原に戻って来たから当たり前だ。
変化が無いし、疲れもあって、この10km逆に辛かった。


ゴール直前。18時を過ぎて、夕陽が八ヶ岳に沈み始めた。素晴らしい眺めに、しばし疲れを忘れて見とれてしまった。
スタート時にはサンライズを見て、ゴール間際にサンセットを見る。
ウルトラマラソンは、本当に1日がかりでその土地を見て走っていられる楽しい競技である事を実感。


そして、見覚えのある野辺山駅近くに戻ってきた。角を曲がると、彼方にはゴールゲートとレッドカーペットが!


そして、無事、星の郷八ヶ岳野辺山高原100kmウルトラマラソン、ゴール!
確かにアップダウンが多い難コースで放ったものの、過去に一番大変だった村岡ダブルフルに比べれば、まだまだ余裕はあった。
完走タイムが12時間51分であったことがそれを物語っている。
村岡ダブルフルは、13時間40分と制限時間14時間ギリギリのゴールだった。
「野辺山を制する者はウルトラを制す」「西の村岡、東の野辺山」とウルトラランナーの間で言われる横綱級の難コースを、昨年の村岡に続いて制した実績は今後の自信になった。
自分が経験したウルトラの中で一番過酷なコースはダントツ1位が村岡、2位が野辺山か萩往還だ。
東西の横綱を制して、本当のウルトラランナーになる事が出来た。

ゴール後、信州そばを食べて、体力回復。

制限時間14時間に対して余裕を持ってゴールできたのは良かったが、とてもじゃないが、日曜日中に帰阪する野辺山駅発の電車は出てしまって、結局、この日は塩尻で宿泊して、月曜日の朝に帰阪して、午後から出社する事になった。
そして、この日はとにかく日本全国で暑い日で、長野も例に違わずの炎天下且つアップダウンが多い難コースで、完走率は過去最低の45.4%。
自分も「完走した萩往還や村岡よりはマシ!」と心の中で連呼し、エイド毎に被り水をしてなりふり構わず前に進み、無事完走する事が出来た。
雄大八ヶ岳連峰を見ながらの12時間を超えるランで、暑さと坂道に苦しめながらの最高の非日常を体感できた。
それに、この日は快晴の早朝に、雄大八ヶ岳連峰を望みながらのランは最高の気持ち良さだった。
野辺山は1,355mの高地で、アスリートの高地トレーニングの地としても有名なので、空気が薄くて走り難いのかと思ったが、あんまり気にならずだった。ウルトラマラソンくらいのペースの走りであれば影響は無いのかも。
そして、ゴール間際の太陽が八ヶ岳連峰に沈む姿は、早朝に見た八ヶ岳連峰とはまた違った姿にこれまた感動した。
朝と夕方の八ヶ岳を堪能できて幸せだった。
野辺山駅を離れる時、これで八ヶ岳が見納めかと思うと何だか悲しかった。


この日、暑さという過酷なコンディション、急峻な坂道、100kmという長い道のり、そして最大の敵である自分に打ち克った人間だけが味わえるこの完走メダルのずっしりとした重さ。メダルの重量だけではない重さを感じた。
2017年のチャレンジとして、小江戸大江戸200k2回目の完走、萩往還140km完走に続いて、3つ目も無事達成!