高いところから失礼致します!

「苦しさはすぐに消える。諦めた事実は永遠に残る。」を心の中で連呼して、マラソン、ウルトラマラソン、超ウルトラマラソンを嗜む変態ドMランナーです。

 サロマ湖100kmウルトラマラソン:サロマ湖とウェルカムパーティーを堪能した前日

6月26日金曜日は、サロマ湖100kmウルトラマラソンへ出場するための移動日。
本当なら午後休をもらって、関西空港14時55分発の便で女満別空港に行く予定だったが、上司の計らいでありがたいことに丸1日の有給休暇に変更してもらえた。
昨年は、関西空港発の女満別空港行きの直行便が午前中にあったために、土曜日出発の2泊3日で行けたのだが、今年からその便が無くなり、午後便だけになってしまったようで、前日受付&ウェルカムパーティーに寄ろうと思うと、大阪からでは金曜日に出発しないと行けなくなってしまった。
北海道の中でも交通の便が悪いサロマ湖を舞台に開催される大会なので止むを得ない。
でも、金曜日と月曜日の2日間の有給休暇をもらえて3泊4日になったことで、この4日間は仕事や結婚などの一向に前に進むことが無く、自分ひとりでは如何ともしようがない日頃の悩みは一切忘れて、がっつりマラソンのことのみを考えられるので、その開放感がとても嬉しかった。これこそが旅行、そしてマラソンの醍醐味だ。
ゆっくり準備して関西空港に向かい、2日後の決戦の地となるサロマ湖の最寄りの女満別空港には17時過ぎに到着。
空港を出ると、空はどんよりとした曇天で、何よりも寒い!寒過ぎる!!
家を出る時、長袖のウィンドブレーカーを着ていくかを悩んでいたが、着てきて良かった。
昨年は女満別空港を出たら本土と変わらない暑さで、「北海道なのにこんなに暑いのか」と驚き、翌日の過酷さが垣間見えていたのを思い出した。
これは当日も寒くなりそうだ。昨年のコンディションを想定して、せっかく暑さ対策をしてきたのに・・・
予想が外れ、少し動揺したが、寒い中でのレースならランナーにとって好都合であり、自分もこれまで何度も経験して良い結果が得られているので望むところだと開き直った。

この日は、女満別空港から直接、昨年と同じ宿泊先のホテル、ルートイングランティアサロマ湖に行き、同室の3人のランナーとマラソン談義に花を咲かせながら、夕食を食べて、温泉に入ってくつろぎ、就寝。
普段の生活では、ランニングチームに属していない自分の周りに自分と同じ価値観・趣味の人がほとんどいないので、こうやって同じ価値観の方と知り合えて話をすることができる機会はとても貴重だ。
これまでも、こうやって同室で知り合えた縁はここだけでは終わらず、Faceboookの友達として大会が終わった後も関係が続き、その方の活躍をFacebook上で知って「自分も頑張ろう!」と感化されたり、別の大会で再会したりすることもしばしば。趣味がある人にとって、Facebookは素晴らしいツールのひとつだ。
フルマラソンなどに出場しても知らない方と同室になる機会は無いのだが、ウルトラマラソンとなると宿泊先が少ない地で開催されることが多いこともあってほぼ知らない方と同室になる。
初めての時は苦手かなと思ったが、今ではこれもウルトラマラソンの楽しみのひとつになった。
そして、翌日の6月28日土曜日、サロマ湖100kmウルトラマラソン前日。
午後16時からの前日受付及びウェルカムパーティーまで時間が有り余る程にあったので、同室の3人の方々は今回初参加である事もあって、コースの下見やアップに行かれる中、自分は昨年行く事が出来なかった幌岩山の山頂にあるサロマ湖展望台に行ってみる事にした。
まずは、ルートイングランティアサロマ湖の横にあるサロマ湖畔遊歩道という、トレイルランニングとして走ったら気持ち良さそうな林の中を歩く。昨年も来ているので、足取りも速い。

サロマ湖畔遊歩道を外れて林を出ると、道の駅「サロマ湖」に到着。ここは明日の55km地点だ。

ここには帰りに寄るとして、この道の駅の裏にある登山道へ。
道の駅の裏には、如何にも北海道らしいルピナスの花畑が。
昨年と同様に特徴的な姿のルピナスがたくさん咲いていてとても綺麗であり、自分の好きな花のひとつだ。
この花を見ると、今年も北海道に来る事が出来たなぁとしみじみと思う。




そして、標高376mの幌岩山のトレッキング開始。

約1.5kmの山道、30分くらいで登って、幌岩山山頂のサロマ湖展望台に到着。
しっかりとした登山道で、結構汗をかいてしまったが、明日に向けて良いウォーミングアップになった。
スゴイ。ちゃんとした展望台だ。


ここまで登ってきたご褒美として、待ち望んだ展望台からの眺めは・・・・
あちゃー、昨日から続く曇天によりガスっていて、唯一サロマ湖を一望できる素晴らしい場所からの景色が台無し。
幌岩山の真下にある宿泊先のルートイングランティアサロマ湖と道の駅はかろうじて見ることができた。


明日の後半のコースの北見市側に至っては全く見えず。

景色が晴れないかをしばらく待っていると、この展望台も霧に包まれ始め、景色は真っ白に。

仕方ないので、展望台の内部を散策。
明日の舞台になるサロマ湖はこんなカンジ。
琵琶湖、霞ヶ浦に次ぐ、日本で3番目の広さを誇る湖で、淡水とオホーツク海の海水が混じる汽水湖としては日本一の広さとして有名だ。

絶好のコンディションでの展望台からの眺め。
オホーツク海まで見渡せて、本当に素晴らしい眺めだ。このサロマ湖の青さが噂の「サロマンブルー」だ。

そして、サロマ湖は夕焼けと沈む夕陽も有名。
今年のサロマ湖100kmウルトラマラソンのホームページは、このサロマ湖の夕焼けをイメージしたオレンジを基調にしたデザインだった(昨年はサロマンブルーをイメージした青色を基調にしたデザイン)。

結局、景色は晴れず、待っていると汗で濡れた服により汗冷えしそうだったので、早々に下山することにした。
ここを目的にやってきたのであれば、相当がっかりしたであろうが、自分の目的は明日だ。
今年は残念ながら絶景は望めなかったが、来年もサロマンブルーの称号を得るために出場予定なので、来年以降のお楽しみに取っておこう。
幌岩山を下山した道の駅の裏手には、ふれあい牧場でポニーが放牧されていた。
一心腐乱に牧場の草を食んでいたが、しばらく待っていると、こっちに寄ってきて、柵から顔を出してくれたので、頭を撫でてあげた。人懐こくって大人しいポニー達は、とてもかわいかった。





トレッキングをして体力を使ったので、道の駅で腹ごしらえ。
早速、サロマ湖名物のホタテ貝の炭焼きを食べる。本土で食べるホタテよりも肉厚でかなりウマイ!


道の駅では、明日の開催記念の割り箸と共に、店員から「明日は頑張って下さい」の応援をもらえた。

昨日までいた大阪のストレスフルなコンクリートジャングルの生活から一転、大自然に溢れた環境の中で過ごす事ができてとても癒された。
ホテルに戻ったものの、天候は晴れずに曇天が続く。
せっかくの部屋からのサロマ湖の風景もこれでは台無しだ。
「サロマンブルー」と呼ばれるサロマ湖の青さも、欠片も見られない。
明日はこのサロマ湖の周りをほぼ1周する。常人のする事ではなく、正気の沙汰では無い事で、それをしようとする人はまさに「変態」だが、それに挑戦して成し遂げる事に意義があり、これ程、刺激的で面白い事はない。明日の事を思うと、楽しみで身震いしてくる。


午後からは同室の方々と、明日のスタート地点で前日受付&ウェルカムパーティー会場となる湧別町へバスで移動。
前日受付会場は、昨年と同様に、ランナー達のモチベーションを煽る横断幕も健在。


前日受付会場を散策した後は、ウェルカムパーティーの会場へ。
昨年は未参加なので、参加するのは今回が初めてだ。スゴイ賑わい。
こんなにも明日100kmを走ろうとする自分も含めた変態さん達がいるのかと驚く。

料理もたくさん。いろんな料理があったが、手前にある北海道特産の芋もちが一番美味しかった。
明日のことも考え、自分も含めて食べ過ぎないようにしているランナーが多いせいか、パーティー後もあり余っていて、何だか勿体無かった。

開会式では、地元・湧別町のランナーによる選手宣誓。
地元にこんな全国的に有名なマラソン大会があって羨ましい限り。

その後は、今年、「グランドブルー(本大会を20回完走!)」の称号を見事得たランナーの認定式。

そして、自分が目指す「サロマンブルー(本大会を10回完走!)」の認定式も。
いずれもスゴイ実績だ。同じランナーとして尊敬に値する。
自分もいつかあのサロマンブルーを象徴する青いポロシャツに袖を通してみたいなぁと憧れる。

そして、この日は記念すべき第30回目の大会という事で、1998年の本大会で6時間13分33秒という驚異的な世界最高記録で優勝し、未だに誰にも破られていない記録を持つ、ランナーの憧れの存在である砂田貴裕選手も来場されていて、我々の前で大変ありがたいお話をしてくれた。
世界記録を出した1998年のレースの時、前年度優勝者の三上選手のハイペースについて行き、そのペースを最後までキープし続けた結果、出した記録であったこととか、世界記録のペースである事を知らずに終盤まで走っていたものの、90kmのワッカ原生花園ですれ違った過去に2連覇していた小島選手に「砂田くん、このペースで行けば世界新記録のペースだよ!」と教えられたことで奮起して残り10kmを走りきったという裏話などを教えてもらえて、トップランナー達の駆け引きや決して砂田選手1人で出した世界記録ではなかったことを知れて、大変感動した。
そして、砂田選手と言えば、

ウルトラマラソンを完走するためには、実力3割、メンタル7割。

というアドバイスを常にされていて、昨年もこの言葉に救われていたが、今年はこう仰っておられた。

ウルトラマラソンを完走するためには、3A(焦らず、慌てず、諦めず)が大事。

100kmを通して常に冷静に自分のペースを守って、最後まで自分に負けて諦めてしまわず、最後まで走り続ければ必ずその先にゴールは見えてくる、ということだ。
本番で辛くなった時には、この言葉と昨年と同様に自分の座右の銘のひとつでもある「苦しみはいつか消える。諦めた事実は永遠に残る。」という自転車の神様ランス・アームストロングが残した言葉を心の中で唱えて乗り越えていこう。


パーティーが終わって、会場を出ると、北海道新聞の号外が配られた。
これは速い!開会式の写真が既に新聞に掲載されている。北海道新聞の素晴らしい仕事振りに驚き。

バスでホテルに戻ったのは18時過ぎ。
明日の朝5時のスタートに向けて、午前1時30分という普段では寝る時間に起きるので、夕食と温泉を速攻に済ませて、20時過ぎには就寝した。
いよいよこの1年間の集大成となる日が来た。
これまで毎月のように出場してきたいろんな大会の実績も、この日のための布石でしかない。
昨年は、何とか完走できたものの、猛暑とノープランで臨んだことが原因で、サロマの洗礼にさらされ、70km以降、走ったり歩いたりでバテてしまって、何度も諦めかけ、せっかくのワッカ原生花園のエゾスカシユリハマナスの共演や広大なオホーツク海、感動のゴールを楽しみながら走る事ができなかった。
わざわざ13万7,000円という高いツアー代を払って北海道のサロマ湖くんだりまで来て、自分に負けてウォーキングをしたり、リタイアしに来たワケではない。
今年は、100kmを通して最後まで走り抜き、余裕を持って楽しみながら完走できるように、これまで月200km以上走って強化してきた脚力、多くの大会を完走することで培ってきた精神力、昨年の経験から学んだ対策を駆使して、2年連続の完走を目指す!