高いところから失礼致します!

「苦しさはすぐに消える。諦めた事実は永遠に残る。」を心の中で連呼して、マラソン、ウルトラマラソン、超ウルトラマラソンを嗜む変態ドMランナーです。

 『鹿男あをによし』読了。

万条目学の2作目です。
デビュー作の鴨川ホルモーがかなり面白かったので、こちらも読んでみた。
今度の舞台は京都ではなく奈良になり、人のことばを話せる鹿が現れて・・・という前作同様に非現実的な話の展開。
普通ならここで敬遠してしまうのだが、そんな読者も虜にしてしまうのがこの著者の凄いところ。
前作とは違って、普段では使わないようなかっこいい日本語を駆使した独特な作風ではなかったのが残念だったけど、だんだん引き込まれていく話の内容は圧巻。
面白さと中毒性は前作同様で、最後になればなるほど印象的な場面が多かった。
そんな話の中で気になったことば。
弱小の剣道チームを率いて、強豪チームに挑むシーンにて。

負けてもいい。
剣道は勝負がすべてじゃない。
しかし、やる前から負けるとは絶対に思うな。
相手が怖くなってもいい。
それは人間の自然な感情だ。
ただ、やる前からあきらめるな。
それは相手に負けたんじゃない。
自分に負けただけだ。

剣道に限らず、どんなことにも応用できる考え方。
スラムダンク安西先生の名言を思い出させます。
そして、ことばをしゃべる鹿が言ったことば。

人間は愚かな生き物だが、この世で唯一自分達とは違う種を美しいと認めることができる生き物だ。
我々は決して他の生き物を美しいだなんて思わない。
私は生まれて初めて仲間以外の生き物から美しいと言われた。
とてもうれしかった。
その時、私は決意した、人間との約束を守り続けようと。
だから今もこうして人間であるおまえと話している。

人間っていう生き物は、捨てたモンじゃないな。
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鹿男あをによし

鹿男あをによし