高いところから失礼致します!

「苦しさはすぐに消える。諦めた事実は永遠に残る。」を心の中で連呼して、マラソン、ウルトラマラソン、超ウルトラマラソンを嗜む変態ドMランナーです。

 ランスマで自分発見!

毎週土曜日の18時からNHK BS1で放送されている唯一のランニング番組である「ランスマ」。
8月2日(土)と9日(土)の放送は、自分も参加した2014年6月29日開催のサロマ湖100kmウルトラマラソン特集。
この日が来るのを待っていた!
8月2日放送分は当日までのチャレンジャーであるスマイルランナーの中村優さんの練習模様などが放送され、9日放送分はいよいよ当日の模様が放送された。
約13時間という100kmの長い道程をたった30分間に編集してしまっているので、彼女の頑張りや大会の模様がイマイチ紹介しきれていない感が否めなかったが、観ていると、自分も味わった当時の苦しみと感動が鮮明に思い出された。
暑さのためにエイドステーション毎で水を頭から被ったり、氷を帽子の中や服の中に入れて身体を冷やしながら走ったあの日。
70kmから90kmがとにかく苦しくて、疲れで機能しなくなった胃を奮い立たせるために、口の中に手を突っ込んで強制的に吐いたり、ゲップしながら走り続けたあの日。
「苦しみはいつか消える。諦めた事実は永遠に残る」というランス・アームストロングの言葉を頭の中で連呼し、自分の極限状態に耐え抜いて何とかゴールでき、思わず男泣きしたあの日。
画面上の中村優さんも、後半は疲れと暑さで身体の代謝異常が発生し、胃に水が溜まって、何も食べられなくなり、吐き気を催し、持ち前の笑顔と食欲も全くなくなって自分と同じように苦しんでいた事が知れた。
この大会のハイライトである80km以降のワッカ原生花園は、エゾスカシユリなどの花々に囲まれ、奥にはオホーツク海が望めるという素晴らしい場所なのだが、それを楽しんでいる余裕が全く無い状態だったのも自分と全く同じだった。
ちょうどこのワッカ原生花園に入る前に中村優さんに抜かれ、その後の園内ではほぼ同じペースで抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り広げていたので、自分が映り込まないかを目を凝らしながらテレビの画面を見つめた。
園内のアップダウンが小刻みに続く1本道を延々と走って、ようやく辿り着いた88.6kmの折り返しポイント。
ここでちょうど自分は中村優さんの前を走っていたので、目を凝らしていると、いた!
この水色の参加記念ウェアにトレラン用のバックパックを背負って右手にカメラを持っている後ろ姿のランナーが自分だ!!
おぉ、もう疲労困憊で極限状態であるハズなのに、俺、走ってる走ってる!



予想通りのポイントでテレビに映り込んでいた。ひとりで凄いテンションが上がってしまった。
この後の90km以降は、終わりが見えてきたことにより、俄然元気が出てきて、最後の力を振り絞ってペースを上げて中村優さんより先に最後まで走ることができたので、テレビに映り込むことはないだろう・・・と思っていたら、最後の中村優さんの感動のゴールシーン。
中村優さんのゴール直後に、ゴールゲートの後ろで両腕を頭に抱え、感動から放心状態になってぼけーっとゴールするランナー達を眺めている自分がデカデカと映り込んだ。



映像を観ていると、中村優さんは90km過ぎでコースの脇で吐いて胃の中に溜まった水分を吐き出したことですっきりして、走りを再開できたようだ。
100km初挑戦で、多くのコースからのたくさんの声に応えながら走り続け、番組成立のプレッシャーを受けながらのこの頑張り、本当に凄い!尊敬に値する。
そっか、ゴール直後にニアミスしていたんだなぁ。
当時、彼女がゴールしたのを全く知らなかった。
「お互いお疲れさまでした!」と声くらい掛ければ良かった。
そんな余裕は無かったから無理ないか。
無事ゴールされたのを知ったのは、ゴール後にこの番組用インタビューを受けていた時。
彼女の涙の意味がよく分かる。とても美しい涙だ。



100km走っている時の苦しみは、あのゴール後の感動が全て消してくれる。
「あぁ、楽しかったな。来年も絶対挑戦しよ。」
そう改めて思った30分間だった。
そして、自分が少しだけでも映り込んで、良い思い出になった。