高いところから失礼致します!

「苦しさはすぐに消える。諦めた事実は永遠に残る。」を心の中で連呼して、マラソン、ウルトラマラソン、超ウルトラマラソンを嗜む変態ドMランナーです。

 オホーツク網走マラソン:北海道の絶景を楽しみながら完走!

9月27日日曜日、「オホーツク網走マラソン」当日。
網走駅前のホテルを出て、スタート地点になる網走刑務所へ連絡バスで向かう。
我々一般市民が観光で行く事ができるのはここから少し離れたところにある「博物館網走監獄」という観光地であり、現役で使用されており、この赤レンガの向こう側には受刑者の方々がいるこの場所にはまず来る事はない(来てはいけない)。
この網走プリズンの入口の前に、たくさんのランナーが集結しているという異様な光景だ。全国数あるマラソン大会の中でも、刑務所がスタートな大会はココだけ。大変貴重な経験と思い出ができた。


朝9時、オホーツク網走マラソン、スタート!
4月の長野マラソン以来、5ヶ月振りのフルマラソンだ。
スタート地点で東京農業大学の学生さん達が大根を持って我々ランナー達を応援。何で大根なんだろう・・・

そして、ゲストランナーのエリック・ワイナイナ選手もハイタッチで送り出してくれた。
彼は先週、シドニーラソンに出場して本気で走っているので、今回は最後尾から走り始め、我々ランナーを抜きながら声を掛けてくれるそうだ。これは市民ランナーにとって良い思い出になる。

網走刑務所の前の網走川に架かる橋を渡って、網走市内を走る。網走市民が盛大な応援で送り出してくれる。



網走駅前を通過。

そして、3km過ぎの地点で、早速、私設エイドが登場。鉄砲汁(かに汁)だそうだ。
昨日の開会式で聞いていたのだが、たった3kmでこんな名物が登場するのはこれまで出場したマラソンの中でも初めて。食べたかったのだが、走っている時は何も食べない主義なので、網走市民の方々の有難いおもてなしに感謝しながら、ここはスルー。

コースは網走市街を離れて、オホーツク海を眺めながら走る。
天気が良くて気持ち良いものの、日差しが強くて少し暑い。北海道であっても、こんな暑いのか。

あれは、二ツ岩という奇岩だそうだ。

そして、ここからしばらく山林のコース。小刻みなアップダウンが多くて、イマイチペースが保てない。


10km辺りで、最後尾からスタートされたエリック・ワイナイナ選手が我々に追いついて、肩を叩いて「頑張りましょう」と声を掛けてくれた。これは嬉しい。相変わらず素晴らしいランナーだ。

山林が開けてきた。いよいよこのマラソンのハイライト、能取岬(のとろみさき)だ!

青い空、広大なオホーツク海、緑の平原。素晴らしい絶景だ。
この大会を象徴する風景であり、出場前から写真で見ていて楽しみにしていたが、期待以上の美しさだった。


オホーツク海に突き出した能取岬の小さい灯台の周りをぐるっと一周。ここだけ芝生の上を走るという珍しいコース。まさに観光ランだ。ランニングと観光を同時に出来て一挙両得。


ここのエイドステーションでは、網走牛乳を振舞ってくれた。牛乳が出るエイドは初めて。まだ半分も走っていないのに初めてづくしの大会で、ここまででも十分に面白い大会である事を実感。

この辺り、あまりに気持ち良過ぎて、ペースを速めてしまった。

能取岬を過ぎて、コース唯一のトンネルを越えると、オホーツク海ともお別れ。


あとはずっと能取湖沿いのコースを延々と走る。能取湖の広大な北海道らしい風景に圧倒。


能取湖沿いの山林コースの中で、半分の20km地点に到達。
ここはサロマ湖が近い事もあって、この日は自分も持っている6月に開催された「サロマ湖100kmウルトラマラソン」のFinisher's Tシャツを着て走られているランナーがたくさんいた。自分のTシャツは自宅に飾ってあるが、やはりカッコイイデザインだ。100kmを完走した勲章を自信に走りたい気持ち、他ランナーに実績をアピールしたい気持ちはよく分かる。
この時、ちょうど自分の前にいたランナーの完走タイムは12時間とのこと。「自分は、11時間20分で完走しているので、このランナーに負けられない!」と奮い立つ。

能取岬を越えた後は、特に見所が無いコースをひたすら走るで、一番辛い辺りだ。
29km地点の「のとろレイクサイドパーク」内で一番大きなエイドステーションに到着。


走っている時に炭酸飲料を飲むと腹が膨れてしまってペースを維持できなくなるので、フルマラソンの時には飲まないようにしているのだが、この日は暑かったので、喉越しが欲しくて、ついコーラを飲んでしまった。
これではこれ以降もペースは上がらないな。

30km過ぎ。沿道で「千と千尋の神隠し」の「カオナシ」が応援してくれた。30kmを越えて辛さが顔に出始める頃に笑いをありがとう。


そして、33km地点。前日の開会式で発表されて、一番盛り上がった網走監獄和牛の私設エイドを発見。
このエイドに到着する前から肉を焼く美味しそうな匂いが漂っていた。
走っている時に固形物を食べるのは厳禁なのだが、こればかりはガマンができずに、ひと切れ戴いた。うまい!
網走市のおもてなしが素晴らしく、この大会はタイムを狙うよりも、ファンランとして臨んだ方が絶対楽しいと再認識。



序盤の暑さとアップダウンでペースが維持できず、その後もそのまま来てしまったため、35kmを過ぎた辺りからペースアップ。ペースを上げて走ってきたものの、40kmに到達した時点で、スタートから3時間50分経過してしまっていた。
残り2.195kmを10分、つまり約5分/kmで走らないと、目標にしていたサブフォー(4時間以内での完走)を達成できない。「これはムリだなぁ」と半ば諦めながらもゴールまでダッシュ

ゴール直前、東京農業大学のチアガールの子達がハイタッチで応援してくれたものの、急いでいたために必死な顔で愛想も無く、ハイタッチで走り去る。どうせサブフォーには間に合わないし、ゆっくり走って笑顔で触れ合えば良かったと後悔。

左側に広くて黄色い花畑が見えてきた。あれがゴールがある向日葵畑だ!

もう圧巻の光景!
この向日葵畑のど真ん中を通る道を走って、沿道で応援してくれる方々と向日葵に囲まれながらのゴール!!
ゴールするだけでも感動なのに、この素晴らしい光景が出迎えてくれては、ここまでの辛さはすぐに忘れ、感動に変わり、その感動も倍増。
ここ大曲湖園地の向日葵畑は日本最大級で、約18hPaの広大な土地に約150万本の向日葵が植生されているそうだ。
前日の開会式でゲストランナーの金哲彦さんが「この大会が開催されているのを待っていたかのように、満開になった向日葵が42.195kmを完走したランナーを出迎えてくれる」とおっしゃっていたが、まさにその通り。全ての向日葵が満開で我々を迎えてくれて、「お疲れさまでした!」と言ってくれているようだった。
能取岬を過ぎてからは特に見所が無いコースで退屈だなぁと思っていたものの、ゴールでこの光景が待っていてくれるのであれば十分だった。




ここに来るまでサブフォーで走るために急いでいたのだが、この風景を見ていたらタイムにこだわっている自分がバカらしくなってどうでも良くなり、この歓喜の瞬間を楽しみながらゆっくり走ってゴール!


ゴールでは網走市長さんが「出場してくれてありがとうございました!」と出迎えてくれて、ボランティアの方から欲しかった完走メダルをいただく。
これが網走刑務所の受刑者が作製された木製の完走メダルだ。結構大きい。
他の大会ではない特徴的な木製メダルで、これは生涯の良い思い出になる。


ゴール地点の芝生広場に座って休みながら、ゲストランナーの金さんとワイナイナ選手のトークショーを見ながらまったり。ワイナイナ選手は最後尾からスタートしたものの、結局、サブスリー(3時間以内完走)で走り、金さんも3時間半で完走されたそうだ。さすがだなぁ。

楽しみにしていた流氷アイシングも体感。冬に網走市内の海岸に漂着した流氷を今日まで保存しておいてくれたそうだ。大会側も面白いことを考えるものだ。

33km地点で網走監獄和牛をひと切れ食べたものの、朝から何も食べていなかったので、無料で振舞われる長天(網走特産のかまぼこ)カレーと屋台で購入したハモ丼で腹ごしらえ。


完走した達成感、充実感、気持ち良さに満たされながら、ゆっくり休んでいるのも束の間、雨が降り出した。
スタート時はあんなに晴れていたのに、午後になってから怪しい雲行きになって風が吹き始めたと思ったら、ゴール直後に雨が降り出し、その勢いはどんどん激しくなった。俗に言う「ゲリラ豪雨」だ。
撥水性のウインドブレイカーは着ていたものの、傘を持ってきていなかったので、ずぶ濡れになって荷物を預けていたホテルに戻った。
会場を出るための道路は大渋滞で、送迎バスが来るまで、豪雨の中で30分間くらい待たされる事になり、あまりの寒さに相当辛かったのだが、この雨の中をまだ走っているランナーの方々の事を思うと文句など言ってられなかった。
このゲリラ豪雨のために、完走後の感動は台無しだった。

結局、完走タイムは「4時間1分9秒」で、今回目標としていたサブフォーは達成できず、自分の走力に不安が残ってしまったのだが、大阪には無い素晴らしい網走の自然と風景をながら、そして網走市民のおもてなしを受けながら走ることができ、本当に楽しい大会で大満足。
様々な点で他の数あるマラソン大会と差別化を図っており、来年も出場したくなってしまった。
後日、RUNNETの大会レポを見てみると、自分だけではなく、出場ランナーが総じて高評価をしていたのは大変うなづけた。
全国各地のマラソン大会ではそれぞれの個性があり、2つとして同じ大会は無い。これだからいろんな大会に出場してみるのは止められない。