高いところから失礼致します!

「苦しさはすぐに消える。諦めた事実は永遠に残る。」を心の中で連呼して、マラソン、ウルトラマラソン、超ウルトラマラソンを嗜む変態ドMランナーです。

 能登半島すずウルトラマラソン:自身未踏の102kmを無事完走!

10月18日の「能登半島すずウルトラマラソン」後半、50kmを越えて峠越えを3回して、下界に下りて来た後は、しばらくフラットな畑の道を「早く日本海を見たい!」という想いで走る。

58km地点の曽々木海岸のエイドステーションに到着。時間は昼近くになってきて暑くなってきたが、暑過ぎず、寒過ぎずでちょうど良いコンディション。
そして、天気が良いために、日本海の景色が素晴らしい。
感動の余り、思わず沿道で応援をしてくれている方に、「日本海、綺麗ですね!」と声を掛けてしまった。



能登半島の海岸線の道を走り、輪島市から珠洲市に戻ってきて60km地点に到達。
単調な道ではあるが、日本海の絶景を横目に走っているので、全く飽きない。海を見ながらのランニング。相当レアな経験だ。


そして、楽しみにしていた道の駅「すず塩田村」に到着。
この辺りは、能登半島の昔ながらの揚浜式製塩で海水から塩を作っている場所だ。
NHKの朝の連ドラ「まれ」で、主人公のまれが能登半島でお世話になる家で、自分の好きな俳優のひとりである田中泯が演じる桶作が営んでいる事でおなじみだ。
海から専用の桶に海水を汲んで畑にそれを撒き、天日干しにして塩を作る。
ここではその製塩方法を観光客でも体験できるようだ。
この光景、ドラマでよく観た!
ドラマでまれの弟の一徹が、一大決心をして、桶作に「弟子にして下さい!」と迫り、その覚悟が本気である事を知った桶作の妻の田中好子が隠れて涙し、ポーカーフェイスの桶作が感動して涙が出るのを我慢するシーンに感動したのを思い出した。あのシーンは、本当に良かった。



相変わらず日本海沿いの道を走っていると、この辺りでカップルのランナーとペースがほぼ同じだった。
ウルトラマラソンを一緒に走ることができるなんて羨ましいなぁ。価値観が同じ人と巡り会え、且つお互い好き同士なんて羨ましい限り!

70km地点に到着。相変わらず日本海沿いの道が延々と続く。



73km地点の自然休養村にて、ようやくレストステーションに到着。地元の子供達が出囃子などで出迎えてくれた。
通常、ウルトラマラソンでは中間の50km近くに大規模なレストステーションがあって、ランナーはそこに着替えなどを送る事ができるのだが、この大会は70km過ぎにあるので、遅めの設定だ。
ここらでちょっと長めの休憩をとってひと休み。ただ休み過ぎないように、時間を決めて休む。
残り30kmは、陽が落ち始めて寒くなることに備えて、長袖のコンプレッションウェアに着替えてリフレッシュ。


そして、以前、会社の後輩達にもらった栄養ドリンクを一気飲みして、残り30kmに挑む。

この大会、沿道からの応援はそれ程多くは無いのだが、たまにこうやって地元のおじいちゃん・おばあちゃんが「頑張れよ!」と声を掛けてくれるのがとても嬉しい。
盛大な応援を浴びたいのであれば、都市型マラソンにエントリーすれば良い。
わざわざ地方の大会にエントリーしたのは自分なので、盛大な応援なんて期待してはいけない。
その土地、その土地で応援の良さはあるので、ここでは、おじいちゃん・おばあちゃんが自分だけに声を掛けてくれて応援してくれる事を楽しむ。


80km手前、この大会のコースで最大の坂道と噂に聞いていた「ラケット道路」にやって来た。
登坂距離2km、高低差100m、最大勾配11%の坂道で、コース最大の難関だ。
ただ自分にとっては、ここまでフラットな道が続いてきてちょっと休みたかったので、ここは無理して走らず、ウルトラマラソンでの作戦のひとつ「登り坂はムリせず歩く」を敢行して、徹底して歩く。
ふぅ、この登り坂で少し休める。これは確かに凄い坂だ。走ろうと思ったら大変だが、ここは日本海を眺めながらゆっくり歩く。




海抜0メートルから登り切った椿峠の頂上では、ボランティアの方が大きな声で「ファイト一発!」と言って、我々ランナーを盛り上げて出迎えてくれた。

坂道を登った後、そして80kmを走ってきた後のオロナミンCはうま過ぎ!

長い登り坂を登ってきたのであれば、下り坂があるワケで、登り坂で歩いて温存してきた体力を使って、下り坂を駆け下りる。

下り坂の途中で80km地点に到達。あと20km。


下り坂を下りた後は、再び海岸線の道を走って、86km地点、能登半島の最先端の禄剛崎(ろっこうさき)狼煙灯台にやって来た。
この狼煙灯台に行くまでの坂道がもう階段のように急。まず走る事ができないし、歩いて登るにしても相当辛かった。ドSな大会側のイジメ・嫌がらせかと思った。
苦悶の表情で坂道を上がっている我々ランナーを見て、観光客達が「80km以上走った人間に、この坂登らせる!?」と驚いていた。
そんな坂道を登って疲労困憊していたので、灯台とそこからの景色を見てもあまり感動が得られず。



86kmを過ぎた後、エイドステーションで携行補給食を注入するのを忘れたので、自動販売機で飲料水を購入しようと思い、チャック付きの袋に入れた千円札を取り出したら、袋に穴が空いていたようで、千円札は汗に濡れてフニャフニャになっていた。それを自動販売機に入れようと思っても読み込まず、結局、飲料水が買えなかった。
自分の持ってきた携行補給食はドロドロなので、水分と一緒でないと摂取しづらい事もあって、次のエイドステーションまでエネルギー補給はガマンすることにした。
今後、ウルトラを走るときは硬貨も持ってこよう、そして防水用の袋は穴が空いてない事を事前にチェックしておこうと心に誓う。
エネルギー補給が出来なかったこともあって、86kmから92kmの間の峠越えで完全にガス欠をしてしまい、この間の道中がこの大会で一番辛かった。心の中で「エイドはまだか!」と叫びながら前へ進んだ。

そして、92km地点のエイドに到着。
ここでは、この大会にエントリーしようと思った決め手となった、この大会のアイドルである「豚汁犬」が我々を迎えてくれた!
つぶらな目で静かにちょこんと座り、「豚汁あります!」の首飾りをして、102kmを走ろうとする変態ランナー達を迎えてくれている。本当にかわいい!
ここまで疲労困憊でやって来たのに、一気にテンションが上がって、写真を撮りまくった。




飼い主の方にこの犬の名前を聞くと、「ペイちゃん」という名前でメスだそうだ(犬だけではなく、飼い主の方もかなりかわいかった笑)。
せっかくなので、ボランティアの方にお願いしてツーショット。

そして、普段はエイドで固形物を食べたりはしないのだが、せっかくなので、豚汁を頂いた。
携行補給食と共に、豚汁を食べて完全回復。あと約10kmで終わりが見えてきたこともあり、俄然燃えてきた。

もっとこの子と戯れていたかったのだが、日が落ち始めてきていたので、真っ暗になる前にゴールするためにも、別れを惜しみながら、92km地点のエイドステーションをスタート。夕陽が綺麗だ。

97km地点に到達し、残り5km。ここからカウントダウン。




そして、これまで自分が走ってきた最長距離の100km地点に到達!
100km以上は未だかつて走った事がない。これ以降は未知の領域だ。100kmを超えているのに、まだ走っていられる自分の脚力と体力に感動を覚えた。

日の入り直後の真っ暗になる直前、空が薄明るい薄明(はくめい)の頃に、ようやくゴールがある珠洲健民体育館に戻ってきた。

そして、無事、ゴール!自身未踏の102kmを無事完走!!


欲しかった珠洲焼で作られた完走メダルもゲット!


大会テーマの「心はひとつ、道は厳しく、人はやさしく」の言葉通り、峠越えのコースは厳しかったものの、エイドステーションなどでボランティアの方々のおもてなしを十二分に堪能して、辛くも楽しい102kmだった。
タイムは102kmで12時間45分もかかっており、今年のサロマ湖100kmウルトラマラソンで出した自己ベストの11時間20分から約1時間半も遅かった。
それに、サロマであったような好不調の波が全く無く、ずっと低調なペースで好調の波が来ず、途中、かなり辛かった。
今日まで「100kmを体力に余裕を持って走る事ができるようになった!」と自負していたのだが、それはサロマのようなフラットなコースでのこと。
今回のようなアップダウンの激しいコースではまだまだ通用しない事を一番辛かった90km辺りで思い知らされ、心の中で「100kmを舐めててゴメンなさい!」と咆哮した。
これくらいのコースでヒーヒー言っているようでは、更なる高みを目指すのに少々不安になったが、唯一の救いは、102kmを走っている間、どれだけ辛くても「ここで諦めよう。リタイアしよう。」と心が折れてしまう程の辛さは一度も無かったこと。つまり、メンタル面は102kmに負けていない事が分かった。
確かに辛かったのだが、その原因はただのエネルギー不足の「ガス欠」であり、エネルギーを補給すればすぐに回復し、再び走り出す事ができた。102kmを通して身体のどこかが痛くて走れなくなる程の怪我も故障もなく走る事ができる強靭な身体であることも証明できた。
今年になって4回目のウルトラマラソンを無事完走し、達成感・満足感・安心感・気持ち良さに満たされた中で19時30分発のバスで珠洲市を出発して、22時に金沢に戻り、金沢市内のホテルで宿泊し、有給休暇をもらった翌日19日に帰阪した。
今回も辛くて楽しい、いろいろ学ばされた素晴らしい102kmの旅だった。やっぱりウルトラマラソンは、フルマラソンよりも断然楽しい。