高いところから失礼致します!

「苦しさはすぐに消える。諦めた事実は永遠に残る。」を心の中で連呼して、マラソン、ウルトラマラソン、超ウルトラマラソンを嗜む変態ドMランナーです。

 第29回萩往還マラニック大会:無事、140km完走!

2017年5月3日、第29回萩往還マラニック大会の「140kmの部」のスタートの時がようやくやって来た。
朝起きて18時まで緊張感を持ってこの時間を待っているだけで疲れてしまった。この憧れの大会に初出場で、この大会の全容がつかめないので、仕方ない。
18時、瑠璃光寺がある香山公園をスタート。出場ランナーが多数いるし、交通規制などをしていないので、早く整列したランナー順にウェーブスタートだ。
園内はランナーやその応援者達でスゴイ賑わいだ。250kmの部のランナーではないとは言え、140kmも世間一般からしたら大概異常な距離で、自分と同じウルトラランナーがこれだけいる光景には驚いた。



最初は山口駅の前を通って、距離合わせと思われる椹野川という川沿いのランニングコースを往復。

そこが終わると、防府市までは延々と国道沿いをランニング。
18時スタートなので、あっという間に夜が更け、真っ暗の中をヘッドランプを照らした我々がゾロゾロと国道沿いを走る様は異様だった。
が、考え方によっては、まるで夜の帳(とばり)に包まれた中をさまよう蛍、もしくは今が旬のホタルイカの漁を富山湾上で見ているかのようで綺麗だった。

最初のエイドになる20kmを走ったところにある鯖山峠という峠の入り口、たそがれ庵も真っ暗の中にたくさんのランナーで大混雑。

この峠、多少アップダウンがあるのだが、序盤だし。この後の峠越えに比べたら大した事が無いので、走って登る。
峠を越えた後は、防府市の街中を走って、最初のチェックポイントである英雲荘に22時前に到着。真っ暗なので、写真がうまく撮れない。

ここから再び山口市に戻る。深夜に走っていて、「自分は何をやっているんだろう」と自問自答しながら、黙々と真夜中の国道沿いをランニング。
途中、かつて幕末の維新の志士達が往来したと言われている歴史ある萩往還を走っていることを示す石碑を度々見掛けた。

約50km走って、0時過ぎに山口市に戻ってきた。人気のない山口駅の前を通り過ぎて、第2チェックポイントの山口市福祉センターに到着。
140kmの部では2箇所で荷物を預けられるのだが、正直、初参加の者にとって、どちらに何を預けておくべきかが分からずに適当に荷物を詰めてしまったのだが、ここでは着替えを中心に入れておくべきであった。
特に、深夜に山越えをするので、気温が下がって冷えないようにするためにも、汗だくになったインナーを着替えて、アウターもここで持っていくのがベストだった。
自分はアウターは詰めておいたものの、インナーはこの後の荷物に預けてしまったので大失敗。
なので、汗冷えにならないようにインナーを脱いでアウターを着る事で深夜の山越えに挑むことにした。
そのおかげでこの後の山越えも冷えて低体温症になる事はなかったので、初参加の洗礼を浴びてしまったが、大したダメージにはならずに済んで良かった。


山口市福祉センターを出た後は、萩往還道のメインである峠の山越えに備えて、街中である今にペットボトルなどを購入して準備万端にして、いざ峠越え!
進んでいくと、どんどん山の中に入って行き、街灯もなくなり、真っ暗に。ヘッドランプだけが頼りのランになった。
街中での夜間走の経験は小江戸大江戸200kであったものの、真夜中に萩往還道の真っ暗な山道をヘッドランプを頼りに進む経験は初めてで貴重だった。
思い返せば、数多くある萩往還道の坂道の中で、最初の峠・板堂峠の一気に500m登る石畳の坂道が一番辛かった。それに、石畳なので真夜中には歩きにくい。

真っ暗なので撮るべき被写体が何も無かったのだが、真夜中2時過ぎ、萩市に入った。こんな真夜中なのに、我々ランナーの為にエイドをしてくれているボランティアの方々には感謝しきり。


萩往還道の峠を走っている間、序盤は板堂峠の急峻な登り坂を越えた後、眠気もあってか、不調な時間が続いていたが、佐々並という集落のエイドで携行補給食を摂ったら、完全回復。ただのガス欠だった。
板堂峠の後の釿ノ切(ちょうのぎり)峠を越えての下り基調になった頃には、体力も回復して、眠気も無くなり、好調の波がやって来た。この波を逃す手は無い!と思い、ペースを上げて、峠を駆け下りた。
萩往還のメインである峠越えが終わって、萩市街地に降り立った頃には夜が明けて明るくなった。
午前6時過ぎにはJR山陰線の萩駅お前を通り過ぎた。古風な駅舎だ。この後は、萩市内をぐるっと回って、また萩往還道に戻る。

萩市から見た日本海の夜明けだ。美しい。

観光スポットの萩城址の前も通り過ぎる。

菊ケ浜の海岸沿いのコース。早朝である事もあって気持ち良かった。
そして、萩市は250kmの部のランナーとの合流地点でもある。自分達よりも24時間早く出発して100km以上多く走っているランナーの方々ばかり。
みんな辛いであろうに笑顔で前に進んでいる。尊敬に値する。


第3チェックポイントの浜崎緑地公園を過ぎて、日本海を見ながら市街地を走り、萩市の虎ヶ崎・つばきの館という第4チェックポイントに到着。
日本海を見ながらのランはとても癒された。

このつばきの館では、ランナーの間で有名なカレーライスが振る舞われる。自分が到着した時間は250kmの部と240kmの部のランナーでごった返していて、お店の方々も回っていなくて、カレーを全員に振る舞うのに時間を要して、多くのランナーがいらいら。自分もしばらく待った結果、カレーを食べられた。
ここまで来ると、固形物を食べられないランナーも多いのだが、自分は胃はまだまだ大丈夫でとても美味しかった。疲れた身体にカレーは最高だ。


虎ヶ崎の後は、第5チェックポイント・金照苑、第6チェックポイント・陶芸の村公園と続く。
この辺りまで来ると、ペースが同じランナーと一緒になる機会が多く、自分は初めてなので、経験ランナーにいろいろと情報をもらいながらのラン。
一番不安なのは自分が今走っているペースは速いのか遅いのか。
序盤から度々抜きつ抜かれつしていた過去完走しているランナーさんに自分の現状を確認した結果、このペースで行けば完走は出来る事を知ってひと安心。


そして、陶芸の村公園を越えた後がこの大会の一番の醍醐味。
何故かというと、ここからは70kmの部のランナーも交わってのランになるため。
特に自分がここに到着した時間は、70kmの部のランナーが同じ香山公園を出発して、ここで折り返す為に走っているピークで、ここから萩往還道に向かって走っている反対側からは70kmの部のランナー達からたくさんの声援を受けながら走る事ができる。
これには本当に勇気づけられた。250kmの部のランナーであれば、なおさらであろう。この大会のコース設計の素晴らしさ及び長く愛されている理由を垣間見ることが出来た。
そして、再び萩往還道の峠越え約30km。
一度、通ったコースだったものの、往路は真っ暗だったので、初めて通るのと同じような感じだったが、ここまでのペースを維持できれば大丈夫。

後半の往還道はアップダウンが多い変化に富んだコースだったおかげで、登り坂は早歩き、下り坂は走る事でペースはゆっくりでも楽しんで余裕を持って走る事が出来た。
そして、往路で苦しんだ板堂峠の急峻な石畳の坂道を下る。スゴイ下り坂で、これを登ってきたんだからそりゃ大変だっただろうと再認識。
そして、板堂峠の入り口に到着。あとは、公道の下り坂を駆け下りて、ゴールの香山公園に戻るだけ!
往路では真っ暗だったからわからなかったが、こうなっていたのか。如何にも歴史街道っぽい。

ゴールの香山公園までは下り坂なのがとても気持ちが良い。
香山公園が見えてきた。たくさんの方々が入り口で拍手で出迎えてくれた。
「おかえりなさい。」「おめでとう。」の声がとても嬉しい。140km走った苦労が報われた気分だ。


園内でもたくさんの方々が出迎え。
ゴールテープを切った写真をうまく撮ってもらうために、ゴールテープ前で一時待機してゴール!



大会側に撮影して頂いたゴール写真。良い笑顔している。



結局、5月3日18時にスタートして、一睡もせずに走って、4日15時過ぎに無事完踏!21時間台で140kmを完走する事が出来た。


山口市瑠璃光寺を起点に、瀬戸内海側の防府市日本海側の萩市を往復し、幕末の維新の志士が往来した歴史ある萩往還道を堪能できた。
ただ今回の「140kmの部」の完踏はあくまでも布石。目標は、更なる高みである本大会のメイン「250kmの部」の完踏にあり。
今回の140km完踏でその挑戦権が得られたので、残念ながら最後になる来年のワンチャンスでそれを達成するためにも、前日のセミナーや道中で自分以上の変態(敬意を表して)ランナーの方々から学んだ点を参考に入念な準備が必要。
今回、足は残っていたのに、胃をやられてしまって、完走後の達成感を味わった後、着替えている時に気持ち悪さでぐったりしてしまった。
ひと休みした後、5月4日中に帰阪するのが大変だった。
小江戸大江戸200kで200km走った後にはこのような症状は無かったのに、アップダウンが多いレースだとこうなってしまうのか。
来年に向けて、この弱い内臓と苦手な登坂力を何とかしないと…

・・・と、この時は来年に向けて、意気揚々にしていたが、、、

以下、備忘録。

・140kmの部は、序盤の防府迄の往復は単調且つ真っ暗な国道沿い、後半はアップダウンが激しい萩往還道と、変化に富んで飽きさせないコースで楽しかった。
・両日、快晴で、2日目の5月4日の日中の暑さが懸念されたものの、心地良い風が吹いていて、暑さは全く気にならず。250kmの部の方々は、5月3日の日中の暑さにとても苦しめられたそうだ。
・250kmの部では、虎ヶ崎に5月4日午前8時迄の到着が目安。
萩市の陶芸の村公園からは、反対方向を行く70kmの部や歩け歩けの部の方々から声援を受けながらのランになるため、下手な走りは出来ないし、元気をもらえる。
・基本、「フラットな道&下り坂は走り、登り坂は歩く」を徹底すれば、完踏できる。
・ガス欠防止のために、エイド毎のエナジー補給は徹底。
・好調の波が来ている時はチャンスと捉えてペースを考えず走って距離を稼ぐ。不調の時は、好調の波が来ると信じてペースを落としてでも前に進む。
・この日の為に購入したGREGORYの大人気の最新製品「RUFOUS(ルーファス)8」。
長距離のトレイルランニング用のトレランバッグなので、やり過ぎかと思ったが、大活躍。
ただ、購入したばかりのSOFT FLASKのひとつを未使用のまま、序盤の防府迄の夜間走で落としてしまうという失態。
SOFT FLASKは中身が入っていないと落としやすいので要注意。
・バッテリーが後ろに付いているヘッドランプを投入し、重たくないかが心配だったが、ド深夜で真っ暗な萩往還道の山道では大活躍。持って行って良かった。